時速130キロの“Wi-Fiエクスプレス”で無線LANを――首都圏新都市鉄道とインテル、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)は、8月24日開業の「つくばエクスプレス」車内で、無線LANを使ったネット接続実験を行う。高速移動中でも安定接続できる技術を検証し、早期の商用化を目指す。駅でも「フレッツ・スポット」(NTT東日本)と「Mzone」(NTTドコモ)に対応した無線LANサービスが利用可能だ。
つくばエクスプレスは、秋葉原(東京都)とつくば(茨城県)間の約58.3キロを、最速45分で結ぶ。運行速度が最大時速130キロと高速なのが特徴だ。無線LAN環境を整備し、都内とつくば間で通勤・通学する乗客の利便性を高める。
実験では、駅構内や沿線に、光ファイバーでインターネットと接続した基地局を設置し、列車とは2.4GHz帯のIEEE 802.11b/gで接続する。駅側には指向性が鋭い高利得アンテナ、列車側には先頭車両と最後尾車両の2カ所にアンテナを設置する上、高速ハンドオーバーとモバイルIP技術により、130キロ走行時でも通信が可能だという。
車内は複数のIEEE 802.11bアクセスポイントで無線LANエリア化する。車両内アクセスポイント同士は、5GHz帯のIEEE 802.11aで中継して結ぶ仕組みだ。アクセスポイント中継には、複数アンテナで通信を安定化するMIMO(Multi Input Multi Output)技術も導入する。
車両内アクセスポイントは当面は1編成にとどまるが、将来は全編成に拡大する。駅の基地局は当初は主要駅とし、将来は全駅と沿線にも設け、全区間をサービスエリアとする予定だ。
駅の無線LANサービスは、まず開業時に秋葉原、新御徒町、つくばなど9駅でフレッツ・スポットとMzoneが利用可能になる。残り11駅も秋ごろ両サービスに対応する予定だ。
首都圏新都市鉄道の高橋伸和社長は「無線LANに対応することで、“ITエクスプレス”に恥じないサービスを提供できる」とコメント。インテルの吉田和正社長は「車内や沿線に無線LAN環境を整備し、インテルが世界で推進する地域コミュニティのIT化計画『デジタルシティ』の起点にしたい」と語り、沿線地域のITインフラ整備にも貢献する姿勢を示した。
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