日本の夏といえば「花火」。あちらこちらで花火大会が催される7月下旬から8月ともなれば、宴会をしに来たのか花火を見に来たのか分からない団体やら(花見と同じですね)、浴衣姿のカップルやら、いろいろと集まってきて一斉に空を見上げて大騒ぎ。
もちろんそこには三脚を立てて花火写真を狙うマニアも大勢いて、皆でベストポイントを探り合っている。
今回はその夏の風物詩、打ち上げ花火を撮影してみよう。でも、打ち上げ花火を撮るのはかなり難しい。狙ったように撮れなくて悔しいこともあれば、偶然撮れちゃうこともある。
まずは準備からだ。
打ち上げ花火を撮るために絶対に必要なのが「三脚」。花火をきれいにとるためにはシャッタースピードが1秒以上のスローシャッターを使うことになるので、三脚がないと(いくら手ブレ補正機能があったとしても)ブレてしまってきれいに撮れない。
その際、三脚はできるだけしっかりした丈夫なものが望ましい。今回、軽量だけれども作りがしっかりしたプロ向けカーボン製三脚と、小型軽量で低価格の三脚で使い比べてみたが、それなりにしっかりした三脚じゃないとシャッターを押したときの小さなブレが影響してしまうのだ。このへんはリモコンがあれば防げるが、手でシャッターを押すのならそれなりにしっかりした、最低でも1万円以上の三脚がお勧めだ。特に離れた場所から望遠で狙おうなんて思ったら、かなり丈夫な三脚が必要だ。
次に重要なのが「場所取り」。花火大会によって観賞できる場所はいろいろあるが、都会型の花火だとどうしてもベストな撮影ポイントが限られてしまう。めいっぱい近づいてデカく撮るのか、ちょっと遠くから風景も含めて撮るのか。離れた場合、ビルなどの花火を遮る障害物はないか。近い場合、人が邪魔にならないか。中途半端な場所に三脚を立てると、三脚を高くすると後ろの人の迷惑になるし、低ければ前の人の頭が邪魔になる。難しいのだ。
よく見に来る花火大会の場合は、ある程度土地勘が働くだろうが、そうじゃないとなかなか分からないもの。早めに出かけて打ち上げ場所を確認し、どこで撮るか考えよう。大きな花火大会だと、必ず本格的な三脚とカメラを持った人たちが集まっているはず。ベストポジションについて話を聞いてみるのもいい。
今回撮影したのは「横浜開港記念みなと祭 国際花火大会」。打ち上げ場所は海上。間に海が横たわっているわけで、打ち上げ場所を見渡せる埠頭の最前列には、ずらりと三脚が並んでいた。
でもあまり近すぎると、広角気味のデジカメが必要になる。わたしは最前列を避け、やや後ろの倉庫の真ん前に陣取った。そこなら三脚をめいっぱい伸ばしても後ろの人の邪魔にならないし、打ち上げ場所との距離がちょうどいい。うまくいけば打ち上げ場所と花火の両方を1枚に収められるのだ。
最近のデジカメには「シーンモード」に「花火」を用意している機種がある。それを使うのが一番簡単だ。打ち上げ花火に適したシャッタースピード(1〜2秒)にし、ピントを無限遠に合わせて撮影してくれる。
まずはそれで撮ってみよう。
しかし花火撮影が難しい理由はいろいろある。カメラ側の問題は「花火モード」で解決するとしても、まだほかに3つ大きな難しさがあるのだ。
1つめは「とにかく時間がない」ということ。花火はどんどん打ち上げられるので、1枚撮ってはそれを再生して「この辺がイマイチだから次はこうしてみよう」って試行錯誤している時間があまりないのだ。
2つめは「打ち上がってみないとどんな花火かわからない」ということ。重要なのは高さで、花火によって上がる高さが違うため、それを見越して待ってなければならない。また花火の明るさ。パンパンパンパンッと連続して花火が上がると、明るすぎて花火というより「空中大爆発」のようになってしまう。
このように花火を撮るのは結構難しいのである。
タイミングを見計らって「今だっ」というところでシャッターを押し、シャッターが閉じる直前(つまり1〜2秒後)に花火が一番丸く大きくなるけど、後から打ち上げられた次の花火の邪魔はされないような感じの花火だと最高だ。
そんなのを狙うにはもう“予想する”しかないのだが、見ているとだいたいパターンが分かってくる。大きな花火大会は1つ1つの花火にスポンサーが付いていて、そうしたスポンサー付き花火群が集まって構成されている。このため、花火群の中で起承転結があるのだ。起承転結は大袈裟だけれども、まず低い位置で軽くパンパンッと上がり、だんだんと盛り上がっていって、クライマックスで高い位置に大玉が上がるという具合。
そんな風に予想をしつつ、撮る。シャッタースピード2秒なら、打ち上がった花火が開き始めたくらいのタイミングでシャッターを押してみるといい。
では成功例をいくつか。
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