パイオニアが3月に発表したDVDレコーダー「DVR-530H/555H」は、初心者層をターゲットにした普及モデルながら、同社の方向性を占う製品といえる。世界初のDVD-R DL対応を含むDVDドライブもさることながら、同社が東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)と共同開発したという新しいGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)がポイントだ。
また6月22日には、RCASTとのUI共同研究プロジェクトの期間を3年に延長することを発表。パイオニア社内にある「ユーザビリティ・ラボ」とRCASTの連携を強化する。ユーザビリティ・ラボに所属する岡嶋高広副参事と中村康貴副主事に、協業に至った経緯と新しいGUIについて、詳しい話を聞いた。
――まず、ユーザビリティ・ラボについて教えて下さい。
「パイオニアは1999年にデジタル家電の先駆けとなるDVDレコーダー“DVR-1000”を投入しました。このとき問題になったのが、当時のユーザーがGUI中心の操作に馴染みが薄く、使い難さを感じる人も少なくなったということです。そこで操作性を専門に扱い、AV商品全般に渡って一貫性を保ちつつ操作性を改善していくためにユーザビリティ・ラボを設立しました」(岡嶋氏)
「しかし、当初は難しい部分もありました。開発担当者は“使える”と思って製品を開発しているわけですから、後から来て文句をつけるわれわれが歓迎されるわけないですよね。最初は単に販売店やユーザーの意見を集めて開発担当部署に渡すのが精一杯で、製品の仕様書が固まる前に提案できるようになったのはここ数年のことです」(中村氏)
――いろいろと大変ですね。では、今回GUIを一新した理由は?
「環境の変化。これに尽きます」
「2004年モデルまでのDVDレコーダーは、2001年末に発売した“DVR-7000”を原型にしていました。当時はDVD単体レコーダーですから、たとえば録画番組の一覧はDVDメディアを前提にして6枚のサムネイル画像を並べています。1枚のDVDに入れるタイトル数としては十分という判断です。また、EPGによる番組名や番組情報もないため、当時は画像を大きく見せるのが重要でした」
「しかし、HDDやEPGを搭載したハイブリッドレコーダーが中心になると、状況は大きく変わりました」
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