デジタル放送のコピーワンス放送について、運用方法の見直しが検討されることになった。総務省の諮問機関である情報通信審議会がまとめた第2次中間答申に盛り込まれたもの。9月を目途に新たな検討の場を設ける方針だ。
情報通信審議会は、同省の諮問を受けて情報通信政策部会「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」において検討を進めてきたが、中間答申では「デジタル放送で必須となる著作権の保護と、視聴者の利便の向上および受信機の普及との両立を図る観点から、技術・ルールの動向も踏まえて、適宜“コピーワンス”等、著作権保護の運用の見直しをしていくことが必要」として、RM(著作権保護)の運用見直しを求めている。具体的には、2005年9月を目途にメーカーや著作権団体、放送事業者などによる検討の場を設け、年内を目標に結論を得るよう務める方針だ。
地上デジタル/BSデジタル放送では2004年4月からコピーワンスを導入しており、現在は放送している番組すべてがコピーワンス。番組のコピー(録画)は1つしか存在できず、レコーダーのHDDに録画した番組をDVDメディアに保存する場合などは“ムーブ”(移動)という形になる。しかし、受信機メーカーの窓口などには「コピーはフリーではないか」という問い合わせや、「ムーブが完了しないのに不具合が生じ、オリジナルが消去されてしまった」といった視聴者の不満が寄せられているという。
苦情の矢面に立っている受信機メーカーは、「利用者の利便を損なうことのないよう、技術の進歩に応じてスピーディに制約を見直していくことが必要」と主張。「現状では、いったんDVDなどへムーブするとSDカード等のポータブル機器に対してムーブができなくなり、アナログ放送で可能であったことがデジタルでは不可能」といった実際に利便性が損なわれている例を挙げ、これらにより「デジタル放送に対してネガティブなイメージが形成される恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
一方の放送事業者側は、「一律コピーワンスという運用に拘るものではなく、私的録画の範囲でジェネレーションの運用取り決めの見直しに対応していく」と従来よりも柔軟な姿勢を見せている。また、「ムーブが完全に行われたことを確認してからオリジナルを消去する」、あるいは「家庭内ネットワークによるIP伝送を技術的に実現する方向で検討する」など運用方法の改善によって対応していく考えを示している。
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