CEATEC JAPAN 2004の2日目となる10月6日に行われたパネルディスカッション「Blu-ray Discのすべてを語る」の中で、AV評論家で日本画質学会副学会長の麻倉怜士氏が、ユーザーの立場からBlu-ray Discとコピーワンスについて語った。
「Blu-ray Discの研究はライフワーク」という麻倉氏は、現在発売されている2社のBlu-ray Discレコーダー、ソニー「BDZ-S77」と松下電器「DIGA DMR-E700BD」の両方を自宅に所有し、多い日には1日3枚ものBlu-ray Discメディアを消費するという、自他ともに認める“Blu-ray Discヘビーユーザー”だ。
「最近、BSデジタルなどのハイビジョン番組で良質のコンテンツが増えてきた。お気に入りは、今年初頭にNHKで放送されたウイーン・フィルのニューイヤーコンサートとBS日テレで毎週日曜9時から放送している“トラベリックス〜世界体験旅行”。このような感動のハイビジョン放送をどんどん録画するためにBlu-ray Discが欠かせない」
感動のハイビジョン放送を自分のモノにでき、好きな時に好きなだけ堪能できるのがBlu-ray Discの魅力だと語る麻倉氏だが、デジタル放送にかけられた「コピーワンス」が、この至福のハイビジョンエアチェック文化を破壊する元凶と声高に叫ぶ。
「録画制限のコピーワンスはユーザーにとって非常に迷惑。コピーワンスによってコンテンツの質が飛躍的に上がったというわけでもなく、不便だけが極端に増えた。一番のデメリットはコンピレーションが作れなくなったという点。これまで私は、好きなコンテンツを組み合わせてコンピレーションディスクを作るのが楽しみだったが、それがコピーワンスによってできなくなった」
コピーができないためムーブ中心の編集作業となるわけだが、この際にBlu-ray Discでの編集機能の使い辛さが露呈するという。
「ムーブ編集でプレイリストが機能しないのが不便。100の素材があったら100回ダビングを繰り返さなければならない」
また、ディスクを破損したり紛失したときに予備を確保できないコピーワンスの不便さを痛感するという。
「私はディスクを踏んで割ってしまうということがよくあるので、大切なコンテンツのバックアップを取れないのは辛い。画質が向上するとユーザーが不便になるというのは絶対におかしい」
麻倉氏がこのような話をある会合で語った時に、とある在京キー局の人がこう語ったという。
「放送は生で見るものです。アサクラさん」
「コピーワンスは、もしかしてエアチェックする気をなくさせるのが目的ですか?との質問に対して、在京キー局の人は『まさしくその通り』と答えて非常に驚いた。こういうことをいっているのだから、ハイビジョン時代になっても放送局の体質は全然変わっていない」
コンテンツ活用の機会が増えれば、ユーザー/制作者両方にメリットがあるはずであると麻倉氏は訴える。
「コピーワンスというDRM技術は、あまりにもコンテンツホルダーよりで過去の遺物。ユーザー=悪人視は絶対におかしいということは、CCCDの失敗でも証明されている。ハイビジョン文化を健全に発展させるためには、ユーザーを大事にするDRMを作ることが必要」
Blu-ray Discの現在と将来について語られたパネルディスカッション「Blu-ray Discのすべてを語る」の詳細は、別記事を参照。
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