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人工津波に海で働くロボットたち――港湾空港技術研究所っぽいかもしれない(2/3 ページ)

» 2005年08月02日 18時00分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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 こちらはマスタースレーブ方式のバックホウ。今、海中で使えるバックホウは、運転席に潜水服を着た人間が乗り込むというスタイルのものなのだけど、それが日本に20台程度あるのだそうだ。そしてそのほとんどが沖縄にある。どうしてかというと、沖縄以外の海では、運転席にすわってバックホウの先を見ようとしたとき、だいたい5メートルくらい先になるんだけど、海が濁っててよくみえないんだそうだ。

 そこで、このバックホウは触覚を頼りに海底面のでこぼこをコンピュータ画面に再現し、操縦者はそれを見ながら作業するようになっている。

環境インテリジェント水槽

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 わかりにくくて申し訳ないのだけど、これは多摩川河口の200分の1の模型だ。縦横だけではなくて、高さ方向もちゃんと200分の1になっている。そして、多摩川はちゃんと上流から水が流れてくるし、海には潮汐を起こす大きなヘビ型の波起こし機がついている(蛇のようにサインカーブでうねることで、斜め方向への波も起こせるのだ)。

 多摩川の河口には羽田空港もある。この空港はいま拡張工事にとりかかっているのだ。拡張される滑走路は海の上にある。何らかの方法で海の上に土地を作らなくてはいけない。じゃあ、どういうふうに土地を作ればいいか、埋め立てるのか、浮かべるのか、柱を立てて上に板を敷くのか実験したのが、この水槽なのだ。結局、柱を立てて上に板を敷くという方式になったのだけど、どうすれば環境に与える影響が一番少ないのか、いろいろ試されている。

海辺の生き物たち

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 干潟実験施設は、人工的な干潟の水槽だ。ここに海の水を引いてきただけで、次第にコアマモが繁り、ゴカイが穴を掘りヨコエビが歩き、何種類もの貝(アサリも)が繁殖する環境ができあがった*3。滅多には見られないのだけど、ナマコもどこかにいるんだそうだ。

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 一方こちらは、海の中に2年間おかれた木材だ*4。見事に穴だらけになっている。これはフナクイムシとよばれる二枚貝の仲間によって喰われたあとなのだ。このほか、海中の木材は、キクイムシ(陸上にいるヒラタキクイムシなどとは異なり、ワラジムシの仲間)によっても、こなごなにされる。これは淡水では見られない現象だ。海中に木造建造物を造る場合、この対策を行わなければいけない*5


*3 このような底生生物をマクロベントスというのだそうだ。

*4 わたしはこのてのぼつぼつな画像は苦手である。

*5 厳島神社はどうなんですか?と聞いてみた。あれは、塗装がしてはありますが、やはり食われているでしょうね、だそうだ。

いよいよ津波

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