インタビュー
「iTMS-Jへの楽曲提供は検討している」――SME、音楽流通への考え(2/2 ページ)
「8月4日に間に合わなかっただけ」――iTMS-Jへの楽曲提供
――既に御社でもbitmusicやMoraを通じて音楽配信を行っていますが、これらから楽曲を購入してもiPodでは楽しめません。ソニーグループの1社として、“ソニーミュージック所属アーティストの音楽を外へ持ち出したければ、ソニー製プレーヤーを購入してbitmusicやMoraからダウンロードしてほしい”という囲い込みは意図していないのですか?
井出氏: それは考えていません。ワールドワイドで見れば、すでにiTunes Music Storeへ楽曲を提供しているソニー系レコード会社があります。日本だけで囲い込みを行うというのはおかしいですよね。
――8月4日に開始されたiTunes Music Storeは開始後4日間で100万曲を販売するなど好調ですが、その中にソニー・ミュージックエンタテインメント所属アーティストの楽曲はありません。
井出氏: 当然、iTMS-Jへの楽曲提供は検討しています。販売チャンネルの増加は賛成であることは既に申し上げましたし、歓迎もしています。実際に楽曲提供を前提とした交渉を行っていまして、それが8月4日には間に合わなかったというだけです。
iPodユーザーならびに潜在的なiPodユーザーへも楽曲を提供するすることは、レコード会社としての役割だと思っています。開始時期についてははっきりと申し上げられませんが、提供する予定で交渉を行っていると考えてください。ただ、提供するとなれば短期間でのお付き合いという訳にはいきませんから、日本の音楽配信を育てていくという考えをもって、慎重に考えなくてはいけないのも事実です。
――提供するとすれば、楽曲の価格はどうなるのでしょうか。
井出氏: iTMS-Jでの販売価格帯は、bitmusicやMoraでの販売価格帯とそう変わりません。消費税を乗せるか乗せないか程度の差しかありませんから、その程度ならば差としてはほとんど問題ないでしょう。
――今後、音楽配信というサービス/市場はどのような動きを見せるのでしょうか?
井出氏: iTMS-Jの開始以来、bitmusicやMoraでの売り上げもこれまでにない上昇率を見せていますが、PC向けよりも価格が高く、DRMも厳しい携帯電話向けサービスがあれだけヒットしているという現状を考えると、私たちのサービスも含めて、音楽配信はまだまだ“試行錯誤の段階”であると感じます。
それに、弊社の秦(コーポレイト・エグゼクティブ 秦 幸雄氏)が“ユビキタスは既にCDで実現している”と言っているように、CDは汎用性も高く、メディアとしての限界を迎えているとは思えません。利便性を考えれば、音楽流通のメインはまだCDであると考えています。
各社の展開する音楽配信サービスと、それらに対応する携帯プレーヤーがどれだけユーザーに受け入れられるかは、もう少し時間がたたないと見えてこないと思います。音楽配信をより拡大するには、DRMやファイル形式などに何らかの統一規格を導入し、ユーザーへわかりやすさを提供することが必要なのかもしれません。
音楽配信は確かに脚光を浴びていますが、“配信ならでは”という、CDを上回る楽しさやメリットがはっきりしたときこそが、本当のブレイクタイミングだと考えています。
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