あまり知られていないが、IXY DIGITA400以降のIXY DIGITALシリーズには「長秒時撮影」という長時間撮影モードが装備されている。低ノイズで独自の描写はすばらしく、夜景写真をよく撮る筆者には欠かせないものとなっている。独自の画像処理をしているようで、他社のカメラにはないクリアな写真が簡単に撮影できるので、IXY DIGITALシリーズを所有している人はぜひ一度試してほしい機能だ。
これだけ優れているのにあまり知られていない理由は、操作が分かりにくいためだ。マニュアル撮影モードのメニューで「長秒時撮影」をOnにしておき、FUNC.メニューの露出補正を選ぶ。ここで「MENU」ボタンを押すとシャッター速度を設定する画面に変わる(モデルによっては「SET」ボタンを押す)。1〜15秒の間で設定可能だ。あとはこのまま撮影すればよい。
夜景でのシャッター速度を何秒にするかは意外にも適当でよい。シャッターを半押しにすると、撮影画像に近い明るさで液晶モニターに表示されるので参考にするとよいだろう。IXY DIGITAL700では液晶モニターが見やすくなったので、これまでのモデルよりもさらに撮影しやすくなっている。
元の撮影モードに戻すには、露出補正の画面で「MENU」ボタンを再度押せばよい。
シーンモードに「ナイトスナップ」という夜景を入れた人物を撮る機能があるが、これは三脚がなくてもブレにくく夜景を入れて人物撮影ができるという機能なので、夜景のみを撮影するには向いていない。夜景を撮るならコンパクト三脚でもよいので長秒時撮影機能を使って撮影したほうが断然きれいに撮れる。
オートフォーカスは中央固定か、9点から自動的にフォーカスを合わせる方法がある。どちらも必要十分に高速だ。屋内などのやや暗い場所でも、動作速度はそれほど落ちない。
このカメラよりも高速にAF動作する製品はあるが、IXY DIGITAL700のよい点は、AF動作速度が安定しているところだ。コントラストの激しい場所や暗い場所、縦位置撮影など、状況が変わっても安定して撮影される。あえて苦言を呈すると、動きの激しい被写体がやや苦手なようだ。それでも以前のモデルよりも進化はしているので、まったく写らなくて困るということは少なくなった。
手軽に持ち運べるこの小型機クラスの競争は激しい。他社では超薄型ボディや手ブレ補正機構搭載、防水仕様など、特色を明確に出した製品が増えている。その中で、デザインと質感、ブランドイメージを核に進化してきたIXY DIGITALシリーズの魅力が、やや薄れて見えてきたのは確かだ。
しかし撮影された画像からは、真面目に作っているという印象は受ける。広角から望遠で撮影しても色ズレはほとんどなく、歪みもない。画像を100%表示でチェックしてみてもノイズは少なく、細かな部分までしっかりと写っているのだ。レンズから画像処理エンジンまでを真剣に作っているためだろう。このクラスのカメラとしては、画質は良いほうと考えて間違いない。
スペックとしては大きな訴求ポイントは少ないが、IXY DIGITALブランドのモデルとしての作り込みはしっかりされてる。幅広いユーザーにお薦めできる製品だが、細部に渡る仕上げの良さやノイズの少ない画質は、カメラにこだわりのある人が普段持ち歩くカメラとしても十分納得できるだろう。
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