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ビクターがフルHD対応リアプロTV発表、56V/61V/70V型(1/2 ページ)

» 2005年09月13日 16時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 日本ビクターは9月13日、同社独自の表示デバイス「D-ILA(Direct-Drive Image Light Amplifier)」のフルHD版を搭載したリアプロジェクションテレビ(リアプロTV)“ビッグスクリーンエクゼ”3機種を発表した。70V型の「HD-70MH700」(126万円)が10月下旬、61V型の「HD-61MH700」(89万2500円)が11月上旬、56V型の「HD-56MH700」(84万円)が10月下旬から発売する。

photo 70V型の「HD-70MH700」
photo フルHD対応リアプロTV“ビッグスクリーンエクゼ”。70V/61V/56V型の3サイズをラインアップ。5月に投入した720P対応機の上位モデルという位置付け

 D-ILAはシリコン上に液晶パネルを形成した反射型液晶素子「LCOS」(Liquid Crystal on Silicon)の一種で、一般的な透過型液晶(LCD)方式に比べて光の損失量が少なく、高開口率/高解像度/高コントラスト/長寿命/高速応答と、グリッド(格子縞)の目立たない滑らかな映像表現、液晶ならではの自然な階調表現が特徴。

 新製品は3機種ともに、今年8月に発表した0.7インチのフルHD(1920×1080ピクセル)D-ILAデバイスを搭載。既に発売されている720pデバイスと同一のサイズでフルHD化を実現し、生産設備や製造プロセスを従来製品と共通化した。画素ピッチは8.1マイクロメートル。開口率は89%だ。

photo フルHD対応0.7インチD-ILAデバイス

 画像処理には同社独自の映像処理専用LSIを進化させた新開発の“映像知能”「新・GENESSA」を搭載。32ビット映像処理CPUの能力を2倍にアップしたほか、特徴検出部の情報量を増やして精度を向上させるなど、フルHDパネルに対応するために画像処理能力を大幅に強化している。

photo 従来は7チップ構成だった「GENESSA」を1チップ化。コアCPUは従来通り32bitのRISCプロセッサだが、クロック周波数を倍に引き上げている

 また新・GENESSAには、ジャギー・ボケ・ざわつきを低減するI-P変換回路「新ナチュラルプログレッシブ」、画像に含まれるノイズ量をリアルタイム検出してコンテンツに応じたNR制御を行うHD対応VNR、ブロックノイズを低減する「ブロックノイズサプレッサ」、モスキートノイズ低減機能などのノイズリダクション機能を搭載した。そのほか、階調を自動で最適化する「インテリジェントγ(ガンマ)」や記憶色を鮮やかに再現する「カラークリエーション」など同社独自の高画質技術を採用。

 新製品向けに光学エンジンも新たに開発した。従来の光学エンジンに比べて小型化を図ったほか、F値最適化&照明光利用効率向上などでコントラストや輝度を高めている。また、投射レンズを改善して色収差などを低減。視聴環境に対応して明るさやコントラストを3段階(F3.6、F5.6、F11.2)に切り替えられる光学アイリスも搭載した。

photo 小型化した光学エンジン(左)と従来の光学エンジン(右)

 他社に先駆けて実用化した光学アイリスは、映画などの暗いシーンで効果を発揮する。「従来は、暗い場面を描写するときも光源が明るいため、10bitの階調のうち1bit分は表現できていなかった。新製品では、光アイリスが光源の明るさを抑えることで、画面の暗い部分で10bitのグラデーションを確保できるようになった」(同社AV&マルチメディアカンパニーILAカテゴリー長の寺岡信二氏)。違いは「Cinema」モードに切り換えたとき、はっきりわかるという。

photo 光学アイリス
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