移動手段は2つの車輪。階段を上ることはできないが、1センチ程度の段差なら乗り越える。「wakamaruを導入する家は、バリアフリーで1フロアという制限はあるが、一般的な障害物……たとえばカーペットの段差や電化製品のコードなど問題ない」という。またスカート部には各種センサーを搭載しており、移動の際は自律的に障害物を避けることが可能だ。オーナーやその家族に呼ばれたら、すぐに駆けつける。
胸の小型ディスプレイは、wakamaruの動作状態を知らせる補助的な表示装置だ。たとえば、家族の顔を認識すると、赤いLEDがハートマークを表示するなど、動作状態と同時に一種のコミュニケーションの手段にもなる。「大きな液晶ディスプレイを使えば情報量が増えるのは分かっているが、それはwakamaruのコンセプトから外れる。なるべく簡素な形でコミュニケーションの手助けをしたかった」(wakamaruテクニカルリーダーの大西献氏)。
人間とのコミュニケーションは、まず相手を認識するところから始まる。wakamaruには、10人までの顔を登録できる顔認識エンジンが搭載されており、カメラが顔を捉えると、画像データから顔の特徴量を抽出してデータベースと照合する。音声認識エンジンは「ワードスポッティング」と呼ばれ、長い文章は苦手だが、連続した単語を認識して効率よく意味を解釈できるという。たとえば「留守番してね」「留守番を頼むよ」など、言葉の中に“留守番”があれば留守モードへ移行。さらに、生活環境のさまざまなノイズを除去できるノイズリダクションや、wakamaru自身が話しているときでも相手の声を認識するためのアコースティック・エコーキャンセラーも備えた。
「製品版では、音声認識機能や自律移動、言葉のバリエーションなど、要素技術の精度向上を図っている。ハードウェアにも細かい設計変更を加え、とくに安全性を確保した」(大西氏)。
関節部は、指などの“挟み込み”を防止するため、最も曲げた状態でもある程度の隙間ができるよう設計から見直された。その過程で肩幅は若干ながら狭くなり、手のパーツは、振り上げたときに人にあたってもケガをさせないよう、弾力性のある素材に変更している。逆に、wakamaruが子ども達にイジメられても耐えられるヘビーデューティさも確保したという。
既にNPO安全工学研究所の安全鑑定を受け、鑑定書を取得済み。具体的には、“ISO/IEC Guide 5に基づくリスク低減と本質安全設計”および“ISO1412に基づくリスクアセスメント”に関する“お墨付き”をもらった。これは、子どもの玩具と同等の安全性を持っているということだ。
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