三菱電機は9月27日、2本のフロントスピーカーだけで5.1ch環境のようなラウンド音響を再現する音響技術「DIATONE Surround(ダイヤトーン サラウンド)」を開発したと発表した。
これまでにも2本のフロントスピーカーのみで仮想的に5.1chサラウンドを再現する技術はいくつか実用化されているが、同社では既存技術を後方の音像定位の再現に難があると同時に、信号処理に高性能かつ高価なDSPを要するという課題があると分析。新技術では信号処理の精度向上により、実際に5.1ch環境を構築した場合とほぼ変わらない音響効果を得ることに成功しならがらも、同時に信号処理の効率化を進めたことによって、DSPの処理負担を低減し、コストダウンも期待できるという。
DIATONE Surroundでは、左右の耳に音が届くまでの時差と音量差を利用して仮想的な5.1ch効果を作り出しているほか、本来右耳(左耳)に届かないはずの音を打ち消す「クロストークキャンセル機能」を搭載することによって、仮想スピーカーから聞こえる感覚を明瞭なものにしている。また、デコーダーとスピーカーの間でデータを低域と高域に分離し、方向感や距離感に影響しにくい高域の処理量を削減することでDSPへの負担を軽減し、結果としてシステム全体の低価格化を進めることに成功している。
信号処理量が少なく、低コストでサラウンド環境が実現できることから、同社では同技術についてテレビやホームシアター機器など家庭用映像機器への搭載を見込んでおり、10月4日から開催されるCEATECでも同技術のデモを行うとしている。
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