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“闇夜のカラス”が見える「メガコントラスト液晶」、シャープが公開

» 2005年10月03日 17時15分 公開
[ITmedia]

 シャープは10月3日、100万:1のコントラスト比を実現した液晶パネル“ASV液晶プレミアム”「メガコントラスト液晶」を発表した。放送局のスタジオや中継車など、映像制作現場のマスターモニターとして2006年度中に製品化する予定だ。

photo 37型フルHD対応の試作機。輝度は500カンデラ

 試作機は、37型のフルハイビジョン対応(1920×1080ピクセル)。輝度は500カンデラと一般的な数字だが、自己発光型のブラウン管やプラズマディスプレイ、有機ELなどを上回る100万:1のコントラスト比を実現した。シャープAVC液晶事業本部長の水嶋繁光氏は、「これまで液晶は、暗所でのコントラストを上げるのは無理だといわれてきたが、試作機は人の目(が認識できるレベル)を超えた漆黒の黒を再現する。“闇夜のカラス”も見える」と胸を張った。

photo 遮光したブースにも試作機を展示。ときどきノイズが発生することがあるが、これはカメラの感度不足に起因するもの。液晶がCCDのコントラスト性能を上回っているために目立つ
photo 各ディスプレイのコントラスト比較

 技術的な詳細は明らかにされなかったものの、同氏によると「いくつかの要素技術を開発」したほか、バックライト偏光板やパネル構造を見直しているという。「液晶パネルのコントラスト性能が良くなかったのは、光の散乱、偏光の乱れ、精度といった課題を抱えていたためだ。これらを徹底的に追及した」。

 同社は既に放送局などと話し合いを始めており、2006年度中には複数の画面サイズの製品を投入する方針だ。「映像制作現場のマスターディスプレイは10万:1以上のコントラスト性能が求められるため、依然としてCRTが主流だが、FPD化を望む声は多い。メガコントラスト液晶の投入により、将来的には年間200億円といわれる同市場をすべてとりたい」。なお価格については、現在のCRTディスプレイが高価なこともあって、「極端に値段が上がることはないだろう」。

 一方、気になる民生機への展開については「一般家庭には不必要な技術」として、計画していないことを明らかにした。「メガコントラスト液晶が生きるのは、スタジオなど100ルクス以下の暗所だ。明るい場所に持ってくると、一般的な液晶と大して変わらない。要素技術の一部を民生機に転用する可能性はあるが、明室のコントラストは現状(の液晶パネル)で十分だと思う」(水嶋氏)。

 なおシャープでは、10月4日に開幕する「CEATEC JAPAN 2005」の同社ブースにメガコントラスト液晶を展示する予定だ。

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