麻倉氏:「ここのところBD-ROMが注目されてますが、すでに実用化されているBD-REで、エアチェックの世界が革命的に変わったという実感があります。私はずっと“エアチェックは一期一会”と言ってきています。最近のデジタル放送は本当にクオリティが高いのですが、録画しないと2度と観れない可能性がある。BDにおけるエアチェックのメリットを皆さんに聞きたいですね」
西谷氏:「BDによるエアチェックの最大の利点は、録画したものと放送とがまったく変わらない画質だということ。ディスク容量が少ないDVDレコーダーでは、画質を劣化させて保存している。しかし、HDのコンテンツは決して劣化してはならない。放送どおりの絵が感動を与えるのです」
キャネル氏:「映画のエアチェックという視点でみると、制作者がこういう映像をみてもらいたいというディテールが忠実に出せるのがBDの魅力でしょうね」
麻倉氏:「今後は“ディレクターズ・インテンション”が重要になると思います。映像をフルHDで届けられると、これまでとは違った“制作者の思い”が伝えられるようになる。そのディレクターズ・インテンションをそのままの画質で長時間録画できることが、メディアとして重要になってくるのでしょうね」
続いて麻倉氏は、エアチェックにおけるHDDの問題を提起。ハイビジョンの正常なエアチェック環境としては、HDDに録ったものを画質を落とさずディスクに保存できるというのが正しいと指摘する。
麻倉氏:「HDD内蔵ハイビジョンレコーダーは過渡期のもの。新しいものを録るためにHDDのコンテンツを消さなければいけないのは“ストレス製造機”以外のなにものでもない。個人的には、早くHDD内蔵BDレコーダーが出てきて欲しいのですがどうでしょうか」
小塚氏:「当然、HDD内蔵モデルというのは検討しています。BD-ROMの規格が遅れていたので、ROM対応時期とあわせてHDD内蔵BDレコーダーを投入していきたいです」
麻倉氏:「そうするとROMの規格はいつごろ決まるのでしょう? その後、すぐに製品が出てくるのですか?」
小塚氏:「年内にはROM規格がファイナルになるので、明確な時期は今言えませんが、来年早々には製品を出したいです」
家庭用のハイビジョンカムコーダー(ビデオカメラ)が登場したことで「自分でハイビジョンを撮る」というニーズも発生し始めている。麻倉氏は次に、生撮りハイビジョンのアーカイブメディアとしてのBDにフォーカスをあてる。
麻倉氏:「現在DVDのカムコーダーが人気ですが、その流れで8センチのBD-REを使ったカムコーダーというのも考えられます。BDなら8センチメディアで何分ぐらい撮れるのでしょう?」
小塚氏:「8センチメディアをBDで作ると1層で7Gバイト、2層で14Gバイトとなるので、放送レベルの画質だったら1層で45分、2層で1時間半の録画が可能。DVDカムコーダーが人気になったのは、録ってすぐにDVDレコーダーで編集したりDVDプレーヤーで再生できるという利便性があったからだと思う。BDの場合はBD-RE/BD-R/BD-ROMの規格が統一されているので、規格が乱立した記録型DVDよりも互換性は高くなるでしょう」
今年のCEATECでもフルHD対応テレビが展示の中心になっている。来年以降、大画面テレビの主流になるであろう“フルHD”をまさにフル活用できるのがBD-ROMだ。
麻倉氏:「BD-ROMのフォーマット策定がファイナルの段階ということなのですが、具体的には今後どういう動きになるのですか」
小塚氏:「フォーマットはほぼ決まっていて、現在は検証の段階になっています。10年前のDVDの時にいろいろ問題があったので、今回のBDは慎重に互換性などを検証しているところです」
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