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スイバル+10倍ズームはデジカメの楽しさ――ニコン「COOLPIX S4」レビュー(2/5 ページ)

» 2005年10月12日 09時24分 公開
[小山安博,ITmedia]

まさに運動会カメラ

 レンズはズームニッコールレンズで、焦点距離は35ミリ判換算で38〜380ミリ、開放F値はワイド端からテレ端までF3.5通し。特にテレ端でのF3.5という明るさはありがたい。

 レンズを本体の厚みではなく高さに収めており、しかも本体の厚み自体をある程度確保した筐体のため、レンズが大型で、設計には無理がなさそう。ハイライトからシャドーまで、解像感の高い描写が可能で、レンズの素性も良さそうだ。

photo 厚みがあるため大きめのレンズを搭載できている。レンズ横にあるのはフラッシュ

 ただ、380ミリという超望遠域では手ブレの問題が厳しい。一般的な手ブレの指標からすると、シャッタースピードとしては1/320秒〜1/400秒はないと手ブレすることになる。

 よほど晴天の屋外でないと、なかなかこのシャッタースピードを得るのは難しい。この距離になるとフラッシュも届かないので、外部の光量だけが頼りだ。基本的には昼間の屋外で使う焦点域と考えた方がいいだろう。

 これはつまり「運動会」を思い起こさせる状況だ。380ミリの焦点距離があれば、ある程度の被写体までの距離は十分にカバーできる。小学校の運動会であれば、父兄席から走る我が子を十分に狙えるだろう。

 スイバルデザインも効果的だ。前方を同じように撮影中の父兄に遮られても、両手を上に掲げて撮影することもでき、撮影の自由度が高い。撮影スペースに余裕があれば、逆に低い位置から撮影するのも、構図的には面白い。このあたりは、スイバル+高倍率のS4ならではの撮影といえる。

 また、手ブレ警告も効果的で、手ブレしそうなときは画面に警告アイコンが表示されるほか、撮影した画像が手ブレしていると判断したときは、プレビュー画面で、手ブレしているので保存するかどうかを確認してくれる。思ったよりも正確で、プレビューでは手ブレしていないように見えたので保存したところ、拡大再生してみると手ブレしていたこともあった。

 もっとも、ほかの高倍率ズーム機のように、手ブレ補正機能はやはり欲しい。ニコンは、一眼レフ用レンズで光学手ブレ補正(VR)を持っているのだが、コンパクトデジカメには今のところ手ブレ補正機能が装備されていない。技術的には不可能ではないと思うので、次回の搭載を期待したい。

オートで気軽に撮るカメラ

 背面には最近のはやりである2.5インチ液晶をきちんと搭載。11万画素と画素数は並みだが、モニターサイズはやはり2.5インチぐらいあると見やすくていい。

photo 大きく明るい液晶。視野角がそれほどでもないので、正面から見ないと色味の確認は難しいが、スイバルデザインで液晶の角度は自由度が高いため、ある程度はカバーできる。

 ただ、液晶は角度によって見え方が大きく変わるのが惜しい。スイバルデザインで、いろいろと角度を変えて撮る場面が多く、もう少し視野角があればさらに自由度が増すので、このあたりは残念なところだ。

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