業界全体にわたるフラッシュメモリチップの不足が、年末商戦期にMP3プレーヤーの一部モデルに打撃を与えるだろう――Creative Technologyの米国法人責任者が10月26日に語った。
「われわれがMP3事業において直面している主な課題の1つは、業界全体にわたる1Gバイトフラッシュメモリの不足だ」とCreative Labsのクレイグ・マックヒュー社長は金融アナリスト向け電話会見で語った。「現在、業界における大容量フラッシュメモリの需要は供給を上回っており、これは第4四半期のフラッシュタイプ1GバイトMP3プレーヤーの供給に影響するだろう。フラッシュメモリ不足は、Appleが年末商戦に向けて主要サプライヤーから供給を確保する特別な取引をしたことが主な原因ではないかと業界アナリストは推測している」
Apple Computerは自社の音楽プレーヤー、特に最近発売されたiPod nano向けのフラッシュメモリを確保するために、Samsung Electronicsと契約を結んだと広く報じられている。
Appleによる契約がMP3プレーヤー業界全体を圧迫しているとCreativeの会長兼CEO、シム・ウォン・フー氏は語ったが、Samsungの名前は出さなかった。
「MP3市場では現在、再編が進んでいるが、今言った特別な取引により(フラッシュメモリ)不足が起きている」(シム氏)
業界再編はローエンドで起きており、Appleによる業界への圧力から、複数の中国のMP3プレーヤーメーカーが事業をたたんだと同氏。
「ここ数カ月で複数のローエンドのメーカーが廃業した。この圧力に立ち向かうのが非常に難しいためだ。Creativeが赤字を出していたら、ほかの企業がこの分野で本当に戦っていくのは極めて難しい」(同氏)
同氏は、Appleのフラッシュメモリ購入取引は長くは続かないだろうと予測する。メモリチップメーカー側にとって有利な取引ではないからだという。
「メモリメーカー側がこの取引から恩恵を受けているとは思わない。本当に一方的な取引だ。ほかの誰も(似たような条件は)飲めないと思う。この業界のいつものやり方ではない」(同氏)
シム氏は、Appleがフラッシュメモリをいくらで購入したかについての推測は口にしなかった。
Appleの取引はかねてから韓国のMP3プレーヤーメーカーから批判されており、一部のメーカーは、Samsungはメモリチップを市場価格より安く売っているのではないかと述べている。韓国のメディアによると、同国の公正取引委員会の委員長は先日、この取引を調査する可能性があると語ったという。
Creativeはこの日、同社第1四半期(7〜9月)の決算を報告する電話会見を開いた。同四半期の売上高は2億8020万米ドルと、前年同期から約30%増加した。純利益は69万1000ドルと前年同期の480万ドルから減少した。投資による特別利益がなければ930万ドルの赤字だったという。
マックヒュー氏は、黒字復帰のための取り組みの進捗に触れた。この取り組みには在庫の8%削減と、100万株の買い戻しなどが含まれる。「今四半期の主な目標は、年内に黒字復帰することだ」と同氏。同氏はCreativeの主要4分野として、「Xtreme Fidelity」「X5」サウンドカード、MP3プレーヤー事業の勢いを維持すること、MP3スピーカーカテゴリーの拡大、引き続き在庫を削減することを上げた。
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