ジュピターテレコムは11月7日、同社のデジタルCATVサービス「J:COM TVデジタル」において、ハイビジョン専門チャンネル「ディスカパリーHD」と「FOXlife HD」の放送を12月14日から開始すると発表した。専門チャンネルのHD化を進める方針で、今回の2局を皮切りに順次HD対応局を増やしていくという。
J:COMの森泉知行社長によると、デジタルCATVサービス「J:COM TVデジタル」の加入世帯数は9月末時点で約52万世帯。テレビサービス全体(170万世帯)の3割を占めるに至った。ただし、現状でデジタルCATVの牽引役となっているのは、地上デジタル放送だ。「われわれの“本業”である多チャンネル放送のHD化が進んでいない。なぜHD化されないのか? というユーザーの声も聞く」(同氏)。
多チャンネル放送のHD化が進んでいない理由は、系列局への中継に利用している衛星インフラ(HITS:Head-end in the Sky)のトランスポンダ利用料が大きな負担になること。また、専門チャンネルが「スカパー!」や「スカパー!110」と重なっており、CATV局からみると「差別化が難しい」という事情もある。
このためJ:COMでは、自らも出資したJDS(日本デジタル配信)を通じて光ファイバー網を構築。J:COM系列各局にHD画質のMPEG-2 TS(トランスポート・ストリーム)を直接届ける「HOG」(Head-end On the Ground)方式を採用した。2005年末までに東京、大阪、福岡を中心とする全系列局をカバーする方針であり、「これにあわせて複数の事業者(専門チャンネル)と交渉を行ってきた。まずディスカバリーHDとFOXlife HDを開始できることになったが、今後もより多くのHD対応局を立ち上げていきたい」(同氏)としている。
ディスカバリーHDは、既存のディスカバリーチャンネルとは異なる編成のハイビジョン専門ドキュメンタリーチャンネルだ。総制作費6500万ドル(約70億円)を投じたテレビ紀行番組「HDアトラス」、リアルCGで恐竜の生態を再現する「恐竜の惑星」など、ハイビジョン解像度を生かした独自の番組をラインアップする(関連記事)。
「ディスカバリーチャンネルは、今年20周年を迎えたが、その節目にアジア初のディスカバリーHDの放送を開始することになった。ほとんどの番組はTrue 1080iで、ドルビーデジタル5.1ch音声も用意する」(ディスカバリー・ジャパンのフィリップ・ラフ社長)。
一方のFOXlife HDは、「日本で初めてのHDによる女性向けライフスタイル&エンターテインメントチャンネル」(ニューズ・ブロードキャスティング・ジャパンのトーマス・フォーリー社長)。米国の人気ドラマや映画のほか、ファッション、グルメ、トラベル、ヘルス&ビューティーといったジャンルの番組を放送する。もちろん、こちらもほとんどの番組がHDソースだ。
「メインターゲットは、ファッションや流行に敏感な20代半ばから40代半ばの女性層。ゴージャスでグラマラスな“ワンランク上”のライフスタイルを、TVを通じて体験したい人に見ていただきたい」(フォーリー氏)
既に「J:COM TV デジタル」を視聴している場合、2つのHD放送局を視聴するための追加投資は必要ない。現在のSTBはそのまま利用可。また、両チャンネルとも標準パックに入るため、別途視聴料金は発生しない。
一方、HDD内蔵STBについても、年末もしくは2006年初めにレンタルを開始する予定だ。メーカーや内蔵HDDの容量については明らかにされていないが、少なくとも「HDDは、HD放送をストリーム記録するのに必要と考えられる、一般的なレベルは確保したい」(ジュピターテレコム商品戦略統轄部長の加藤徹氏)。i.Link端子も装備し、D-VHSなどにムーブする機能を備える予定だ。
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