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レビュー
» 2005年11月14日 17時40分 公開

HDDという母艦を備えたSDミニコンポ――「SC-SX800」レビュー(3/3 ページ)

[渡邊宏,ITmedia]
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 リモコンにはHDDとSDメモリーカードから再生を開始するボタンが最も目立つ色で配置され、CD再生とラジオ/外部入力ボタンも最上段の分かりやすい場所に配置されている。そのため、何らかのアクションを起こしたいときには、まずリモコンのHDDやSDのボタンを押し、それから詳細な操作を行うという流れが自然に作られている。

photo リモコン

 PCやデジタルオーディオプレーヤーになれている人ならば、全機能にアクセスできるメインメニューが用意されている方が便利に扱えるが、本製品は“PCレス”を目指した製品。こうした操作インタフェースが実装されているのは当然かもしれない。

 HDD/SDメモリーカードの操作中に「トップメニュー」ボタンを押すと、アーティストやプレイリストなどから選曲操作が行える。特徴的なのは「印象選曲」で、これは収録された曲の曲調を本製品が「ウキウキ系」「騒ぎたい感じ」「ポップ系」「切ない感じ」などの7つに判別し、プレイリストを自動作成する機能だ。本製品では最大99曲がこの“印象”によって選曲される仕組みとなっており、対象曲が99曲以上ある場合には選択する度にランダムで99曲がプレイリスト化される。

 “その日の気分にあわせて曲が自動的にチョイスされる”という機能は、ストックされている曲が多ければ多いほど効果的に機能する。このミュージックソムリエの機能自体はSD-Jukeboxなどにもすでに搭載されており、そう目新しいものではないが、HDDを搭載し、最大4万曲という大量の楽曲をストックできる本製品のような製品でこそ真価を発揮するといえる。

 今回は「空創クリップ」(スキマスイッチ)、「A Bigger Bang」(THE ROLLING STONES)、「FULL OF ELEVATING PLEASURES」(BOOM BOOM SATELLITES)、「THE MUSIC」(THE MUSIC)などをHDDにリッピングしてみたが、物の見事に「騒ぎたい感じ」と「ノリノリ系」に偏ってしまった。個人的な音楽の趣向を再確認できる機能ともいえそうだ。

photo 「Moment I Count」(BOOM BOOM SATELLITES)はノリノリ系

シンプルなSDカードへの転送――エンコードは高速化を期待

 SDメモリーカードへの転送も操作はシンプルだ。転送したいプレイリストを画面に表示させた状態でスロットにカードをセットし、転送ボタンを押すだけ。印象選曲で作成したプレイリストや、自分が編集したプレイリストの一部だけ選択して転送することもできる。これは全体にいえることだが、操作はシングルタスクになっており、「CDを再生しながら、HDDの曲をSDメモリーカードへコピー」といた連係動作はできない。

 転送は最大12倍速と高速だが、PCMでHDDに録音している場合にはAACへのエンコードが同時に行われるため、実時間の約4/5の時間がかかる。HDDに収納した48分21秒のアルバム(PCM録音)をSDメモリーカードへ転送したところ、約40分必要だった(ちなみに、AACとして収録した状態からの転送では約4分で転送が完了した)。

 SDメモリーカードへの転送を考えるならば、CDからのリッピング(エンコード形式)はPCMではなくAACを選択するのが現実的だ。しかし、もう少しAACエンコーディングが高速ならば、「HDDにはPCMで収録/外出時にはAACにエンコード」という使い方ができたはず。今後のブラッシュアップを期待したい部分だ。

 SDメモリーカードには、著作権保護付きのSDオーディオフォーマットとして転送されるため、D-SnapなどのSDオーディオプレーヤーや一部の携帯電話など対応機器でしか聞くことはできない。SD-Jukeboxがインストールされ、著作権保護機能を持ったSDメモリーカードスロットを備えたPCならば再生は可能だが、PCへのコピーや移動をすることはできない。


 試作機であるために音質の評価は難しいが、試用した製品についていえばミニコンポながらもなかなかしっかりした音を聞かせてくれるように感じた。スピーカーに搭載されているディフューザーのおかげか、音の広がりも悪くない。AAC 128kbpsとリニアPCMを聞き比べると、どうしてもAACでは音の厚みに欠けるようにも感じるが、トータルで考えれば十分に楽しめるクオリティであるといえる。

 前述のように、SDメモリーカードへの書き出しを考えると、HDDへの保存はPCMではなくAACで行うことになると思われるが、ビットレート設定が3段階(128kbps/96kbps/64kbps)しかないのは少々不満だ。SDメモリーカードの容量・価格を考えると、携帯機器用にはAAC/128kbpsで統一するのも悪くないのだが、80GバイトのHDDを搭載していることであるし、もう一段上のビットレート設定(160kbpsや192kbps)も含めた設定でも良かったのではないかと思う。

 PCを利用したHDDのバックアップ機能なども備えているが、リモコンの利用を前提とした操作インタフェースは非常に家電的。ネットに接続しなくても、かなりの確率でCDを正しく認識してくれるほか、(多少時間がかかる場合があるとはいえ)SDメモリーカードへコピーも手軽だ。音楽の管理をPCで行わず、手軽なミニコンポですべてまかないたいという人に向く製品といえる。

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