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れこめんどDVD「イン・ザ・プール」DVDレビュー(1/3 ページ)

» 2005年11月18日 19時28分 公開
[キャロルもつお,ITmedia]

「イン・ザ・プール」

発売日:2005年10月19日
価格:4179円
発売元:「イン・ザ・プール」製作委員会
上映時間:100分(本編)
製作年度:2004年
画面サイズ:ビスタサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタル/2.0chステレオ/日本語
音声(2):コメンタリー

 先日、帰宅途中の電車内で扉口に立っていた。すると、横にひとりで立っていた20代半ばと思われる女性が、突然、バッグからポテチ(ポテトチップス)の袋を取り出し、ボリボリと頬張りだした! 「え??」と疑問符いっぱいのわたしをお構いなしに、彼女はポテチを食べまくる。車内でひとり、立ったまま……。えーと、見た目は至極フツーの女性でありました。極度の空腹感に襲われていたんでしょうか。それにしても、フツーの顔して食べてたなぁ。え? 一体、何の話だよ、って? いや、本日、ご紹介したい作品「イン・ザ・プール」に、奇妙な人々が登場するため、ふと思い出してしまったワケ。

 トンデモ医師と奇妙な患者。なんともオイシイ設定。それを題材にしたのが「イン・ザ・プール」なのだ。コレ、人気作家、奥田英朗の短編集「イン・ザ・プール」&「空中ブランコ」に登場する伊良部医学博士のもとを訪れる人々を描いた話を映画化した作品。トンデモ医師というと、そうだなぁ。「パッチ・アダムス」(98年)が、まず浮かぶかな。実在の医師ハンター・アダムスをモデルにロビン・ウィリアムズが主演した人間ドラマね。でも、こちらは一見、変わった医者でも“笑い”が病魔を遠ざける! との強い信念を持って努めている立派なお医者様のお話だから、伊良部医師の変わりっぷりとは違うけど。

 んじゃ、奇妙な人が出てくる作品は何があったかな? そうだ、これは「恋愛小説家」(97年)のジャック・ニコルソンが秀逸だった。人間嫌いにして極度の潔癖症に、強迫神経症。彼が道路の継ぎ目を踏むことができずに、ミョ〜な歩き方をする姿には笑ったよね。でも、そこはさすがのニコルソン。ただの奇妙な人には見えず、主人公の不器用さや悲哀を感じさせた。ヨーロッパへ目を向けてみても、奇妙な人々が登場する作品は数多い。ちょっと浮かぶだけでも、フランス映画「奇人たちの晩餐会」(98年)、今月公開のベルギー映画「マダムと奇人と殺人と」(04年)とか。そして、わたしが大好きなドイツ映画「悦楽晩餐会」(97年)なんかも。こちらは特別、変とされる人が出てくるワケではないけれど、普通の人々が繰り広げる一風変わった空気を持った喜劇にはまってしまう。

トンデモ精神科医とストレスを笑い飛ばせ

 そして本題の「イン・ザ・プール」。ココにはトンデモ医師と奇妙な人々の両方が登場する。先にも書いたけれど、原作が人気小説のため、小説版を知っている人が多いかもしれないね。「空中ブランコ」は直木賞受賞作だし。奇妙キテレツなトンデモ人間、伊良部一郎は伊良部総合病院の跡取り息子にして、神経科担当の医師。ストレスに押しつぶされそうになり、精神を病んだ人々が、最後の頼みの綱としてすがりつきたい気持ちで訪れる神経科で出会ってしまうのが伊良部なのだ。その頼みの綱はあまりにあまりな代物だった。白衣の下にはヒョウ柄のシャツとヒョウ柄のブーツ。性格はいい加減で、患者の話もロクに聞いちゃいない。マザコン度も高く、突然凶暴になる危険性アリ。そして傍らにはお色気ムンムンのナース、マユミちゃんが無愛想に立っている。自分たち以上に変な医師と出会ってしまった患者たち。病院を変えよう、と思いつつ、なぜだか、また伊良部のもとに足を運んでしまう。伊良部の犠牲者、もとい患者とは……。

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