人類が手に入れた“第4の明かり”――LED(発光ダイオード)の用途が着実に拡大している。11月30日に開幕したLED専門のビジネスイベント「LEDEX Japan 2005」では、単なる照明器具や表示装置に止まらない“LEDならでは”の応用製品を見ることができる。
シーシーエスが展示していた「LED菜園」は、その名の通りLEDの光で植物を育てる装置だ。LEDを光源にしたのは、「蛍光灯などに比べて発光スペクトルの幅が狭く、特定の発光色(波長)に絞って照射することができるため」。光の波長(=色の違い)は、植物の育成に大きな影響を与えるという。
たとえば、赤い光(波長は660ナノメートル)には、レタスの光合成を促進して成長を早める効果がある。これに青(475ナノメートル)を少し混ぜると、葉が大きく、全体的にバランスのとれたレタスが育つ。また緑(525ナノメートル)のLEDを使うと、クロロフィルによる光の吸収率が低くなり、葉が細長く、ひょろひょろっと伸びたレタスになるらしい。食べたいかどうかはともかく、とりあえず興味を引かれる話だ。
光によって変化するのは、外観だけではない。「LEDの発光を細かくコントロールすると、レタスに含まれるビタミン類などの成分も変わる。花類の場合は、開花時期を調節することもできる」(同社)。このあたりは、三菱電機の冷蔵庫と同じアプローチだ。
ただし、植物の種類によって成長を促進する光の波長や照射方法が異なるため、現在はまだ研究段階。展示していた「LED菜園」も、1512個のLEDを搭載したパネルと電源ユニットのセットで70万円から(LEDの色によって値段は異なる)と高価で、やはり今のところは研究用途に販売されている。「農家からの問い合わせも多いが、価格が全く合わない状態」。
なお同社では、来年にも小型パネルと簡易型電源ユニットのセットをラインアップにくわえ、15万円から(色によって価格は異なる)という価格で発売するという。家庭菜園にはまだまだ高価だが、興味のある人は試してみてはいかがだろう?
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