ITmedia NEWS >

れこめんどDVD「イマジン/ジョン・レノン」DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2005年12月16日 17時30分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

「イマジン/ジョン・レノン」

発売日:2005年11月25日
価格:3980円
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
上映時間:106分(本編)
製作年度:1988年
画面サイズ:ビスタサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタル/2.0ch/英語
音声(2):ドルビーデジタル/2.0ch/ポルトガル語

 ビートルズの元メンバー、ジョン・レノンの生涯を追ったドキュメンタリー作品が没後25年のタイミングでようやくDVDでリリースされた。公開から約16年を経てのリリースなので待ちこがれていたファンも多かったろう。

実はビートルズファンではないのですが……

 しかしこのような原稿を担当しておきながら申し訳ないのだが、実は自分はビートルズファンでもなく、ましてやジョン・レノンの熱狂的信者でもない。ジョン・レノンで思い出すのは、まだ中学生だった当時、ジョン・レノン死亡のニュースがあまりに大々的に報道されたことである。その時、いかに多くの人々に彼らが影響を与えていたかも知ることができた。

 中学の英語教師は授業で「イマジン」の歌詞を配り、みんなに合唱させた。また通っていた英語塾の教師も自分がコレクションしていたビートルズのレコードを引っ張り出して、みんなにビートルズへの熱い思いを延々語ってくれた。同世代でもハマっている友人が多く、学校の休み時間に教室で歌っている奴もいた。

 また大学時代にはこの「イマジン」のレーザーディスクを買って「いい作品だから絶対見てほしい!」と言ってくる友人もいたくらいだ。しかし自分にとっては、ひげもじゃの変なおじさん程度の認識しかなく、せっかく借りたレーザーディスクもテープにダビングしただけでほとんど真剣に見ることなく時が流れていった。そんな自分が今回、DVDで初めてきちんと作品に向き合ってどんな感想を持つのか、やや不安気味に視聴を始めたが、見終わった後は現在の年齢(39歳)になってから見ることができて良かったという感想を持てた。

インタビューやライブ中心の構成で好感度大

 基本的な作品の内容はジョン・レノンが「イマジン」という曲を仕上げていく流れの中に、ビートルズ時代からの映像、プライベートフィルムなどを混ぜ合わせ、彼の人生観、平和に対する思いなどについて語られていくという、純粋なドキュメンタリー構成になっている。

 監督のアンドリュー・ソルトはエルビス・プレスリーの伝記映画「THIS IS ELVIS」も手掛けた人物で、膨大な素材を実に分かりやすくまとめることに成功している。素材としては200時間を超える途方もない分量だったようだが、ジョン・レノンのインタビューとライブや実生活中心の構成で余計なナレーションは一切無し。本人や関係者だけのコメントのみで進行するので、ジョン・レノンがどんな人物像なのかが非常に明瞭に現れ、作品の作り方にも好感が持てる。

 関係者のインタビューも、ポール・マッカートニーやジョージ・ハリソン、リンゴ・スターといったビートルズメンバーのインタビューこそないが、ヨーコ・オノはもちろん、元妻のシンシア・レノンや息子のジュリアン・レノン、ショーン・レノンなどの家族から、マネージャーなど細かい取材を行っており、彼を描くには充分すぎる人間が登場する。物議を醸した「キリスト教は破滅するだろう」と言って、ファンから反発を買ったり、KKK団の脅迫めいたコメントも収録されている。またヨーコ・オノがブスと言われたことにしっかり抗議している様子も見られ、ジョンの誠実さも見ることができる。

次ページ「ジョン・レノンの魅力、そしてヨーコ・オノの存在とは」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.