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82型液晶テレビにSXRD搭載の薄型リアプロ――ソニー2006 International CES

» 2006年01月05日 21時10分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「2006 International CES」開催前日に行われた報道関係者向けプレビューで、ソニーはフルHDにフォーカスした同社の展示内容を紹介した。その中でも注目されていたのが世界最大となる82インチの液晶テレビだが、この製品はxvYCCという新しい色空間規格に対応し、広い色域が収められた高品質映像を性格に表現する能力を持つという。また、超薄型のSXRDリアプロジェクションテレビも紹介された。

photo 動画色空間規格の「xvYCC」に対応した82型液晶テレビ

 展示された82インチ液晶テレビはあくまで試作機であり、画面中央に境界線が見えるものだった。これは82インチパネルに対応する偏光板がないためで「製造上の問題ではない」という。また単なる試作機のまま終わらせるわけではなく、年内に多少のサイズ変更をくわえて製品化する意志もあるようだ。

 しかし、この試作テレビが興味深いのはサイズよりも、むしろxvYCCに対応している点である。xvYCCはIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)により規格化されているもので、YCCデータをRGBデータに変換した際に発生する、マイナスの値やオーバーフローした値を符号なし8ビットに丸めるのではなく、そのままディスプレイ上で色再現を行うという規格。静止画におけるsYCCに相当するものだ。

 xvYCC規格を活用するには、xvYCC対応の映像制作ツール、カメラなどが必要になるが、今後は主にDVD制作や次世代光ディスクコンテンツなどで活用され始める見込みだ。前述の82インチ液晶テレビはLEDバックライトを採用しているが、同じLEDバックライトを採用した機種でも「クオリア005」のように、ソースにはない色をパネル上に割り当てるのではなく、制作者側が意図した広色域をそのまま引き出せるのが特徴。放送機材が更新されていけば、長期的には放送コンテンツでも活用できる規格だ。

 通常、ディスプレイは“それらしい色”になるよう、上手に色をごまかして表現している部分があるが、xvYCCならば映像ソースに含まれるすべての色が表現可能となるため、赤黒い赤、あるいは朱色に転んだ赤、深い青の表現力などの問題を解決しやすくなる。

 もう1つの注目株は、参考出展された55インチのSXRDリアプロジェクションテレビだ。反射型液晶パネルのSXRDを用いた低価格のリアプロジェクションテレビ開発の噂は以前からあったが、そのスペックはフルHD、コントラスト比10000:1、応答速度2.5ミリ秒というものだった。この製品は日本での発売も噂されている。

photo 55インチのSXRDリアプロジェクションテレビ

 一方、Blu-ray Disc関連では今年夏に発売予定のBDプレーヤー、および発売日未定のBDレコーダーが展示されていた。その脇にはBDパッケージのサンプルも展示されており、「ステルス」「フライトプラン」「最初の恋の始め方」「ファンタスティック4」「パイレーツオブカリビアン」「フィフスエレメント」「キル・ビル」「サハラ」などが並んでいた。

photo 今年夏に発売予定のBDプレーヤー
photo BDパッケージのサンプルも展示

 そのほか、4K2Kプロジェクターを2台スタックした巨大シアターを設置。DLNAクライアント機能を持つPSPファームウェアなどの展示も行う。また、ロケーションフリー関連で携帯電話への展開があるようだが、こちらは明日、ハワード・ストリンガー会長の基調講演で詳細が発表される見込みだ。

 また来場していたソニー・コンピュータ・エンターテイメント社長兼CEOの久夛良木健氏にPlaystation 3の発売スケジュールについて訪ねたところ「現時点では予定通り。少なくともソニー側に起因する進捗の遅れはない」と話していた。

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