2005年、皇帝ペンギンの生態を追ったドキュメンタリー、その名も「皇帝ペンギン」が世界中で驚きのロングランヒットを記録した。映画大国アメリカ最大の映画の祭典アカデミー賞での、長編ドキュメンタリー部門ノミネート&受賞はほぼ確実と、専らの評判。
しかぁし! この世界中を感動させたドキュメンタリーのペンギンたちに負けず劣らず魅力的なペンギンが「マダガスカル」に登場するのだ! ドキュメンタリー映画とアニメーション映画を同列に置いて話すな!! などという至極まともなツッコミには反応いたしませんよっ。あしからず。
そもそも主役たちが動物園を追われることになる脱走事件を起こした、元々のきっかけを作ったのもこの4人組“ペンギンズ”。そして、ケニアの動物保護区へと移送されるはずだった彼らがマダガスカルへと漂着することになったのも、“ペンギンズ”が、船を人間から乗っ取ったから。
大自然の中での都会っ子動物たちの大冒険! と謳いながら、どうも地味さが漂う本作。その地味さを払拭する強力キャラこそ、“ペンギンズ”なのだ!
もちろん、ポイントを絞って出てくるからこそ、印象も強烈なのだろうけれど、とにかくカワイイ! 決して愛くるしいペンギンではない。軍隊ちっくな動きを見せる彼らにはニヒルささえ漂う(なんでも彼らはテロリストらしいし)。そしてわずかな登場時間ながらきっちりとしたキャラ分け。ホント頭が下がります。
的確に“ペンギンズ”に指示を出すリーダーの隊長に、なんだかロシアの軍人を思わせる隊長の片腕コワルスキー。そして万能選手リコ。なぜ?? と疑問を与える隙すら奪う早さで物事をこなしてしまう姿に脱帽。最後にもうひとり、新人。軍隊風の行進にもちょっとお尻ひとつ、いつもズレているのが、かわいらしい。
完全に主役から人気を奪ってしまった彼ら。DVDリリースに伴い、本編ディスクにプラスして、「ペンギン大作戦ディスク」が収録されたのも当然だ。ただ、「ペンギン大作戦」では、人気が出たからなのか4人のキャラが少し前とは違っている。特にリコ。飄々とした万能選手だったはずのなのに、なぜだか爆弾好きで頬にキズを持つ危な〜いキャラに変身している。
そうそう、やけに凛々しく素敵な隊長の声をあてているのは、本作の共同監督を務めるトム・マクダラス! ビックリです。いいんだか悪いんだか、役者さんたちより数段お上手。DVDには本編すべてにわたって監督の解説も付けられており、こちらもなかなか面白い。
「マダガスカル」を観ようか迷っているあなたに、ペンギンズを見るだけでもその価値はある! と言い切ってしまいましょう!
最後に。若手お笑いブームにあって、「マダガスカル」の吹替えにも、おぎやはぎとアンタッチャブルが参加している。それぞれの声優っぷりはぜひ、みなさんご自身で確認していただくとして、わたしからは彼らのうち、キング・ジュリアンの声をあてた小木さんに“なかなか頑張ったで賞”を勝手に贈らせていただきます。
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