レコーダーやAVアンプとテレビ/プロジェクターを接続するデジタルインタフェースが「HDMI」だ。1本のケーブルで映像と音声、制御信号を同時に送れることから取り回しが容易なほか、Blu-ray Disc/HD DVDで用いられているコンテンツ保護規格「AACS」にも対応しており、高級機を中心にAV製品への搭載が進んでいる。
便利で将来性もあるなど、いいことずくめのように思えるHDMIだが、問題がないわけではない。それはケーブル長に限界があることだ。
現在、HDMIケーブルは長さ15メートルの製品までしか市販化されておらず、フロントプロジェクターを設置する場合に取り回しの関係上、ケーブル長が足りなくなるため、そこだけがD端子接続などになってしまうというケースもある。
(HDMIの規格に長さの制約は存在していないが、HDMIファウンダーズのFAQには、“メタルのケーブルでは15メートルが規格上の条件を満たす最長の長さだろう”という記載がある)
東京ビッグサイトで開催されている光ファイバに関する総合展示会「ファイバーオプティクス EXPO」にて、その弱点を改良する製品をセイコーエプソンが展示している。
同社が展示しているのは、DVI/HDMI規格のデジタル信号を光化して伝送する光送受信モジュール(パラレル光トランシーバ)。HDMI機器についてはDVI-HDMI変換ケーブルを用いる必要があるが、ケーブル長を最大500メートルまで延長できる。規格としてはDVI 1.0のほかDDC2Bに対応し、1080pまでのHD映像とマルチチャンネル音声、制御信号を伝送できる。
ブースではDVD/HDDレコーダー(松下電器産業 DMR-EX100)とHDMI接続対応フロントプロジェクター(エプソン EMP-TW600)をこのモジュールを介して約12メートルの光ケーブルで接続、HD映像を流すというデモが行われていた。
今年中の製品化に向けて開発が進められており、まずは駅や学校、病院などで用いられている業務用大型ディスプレイやマルチディスプレイ用に提供を開始する計画。その後には個人向けとして、デモのようにホームシアター用製品としても展開していきたいという。
現在のところ、外部電源が必要なアダプタータイプとしての製品化が予定されているが、同社ではHDMI対応機器の普及ペースを検討しながら、レコーダーやプロジェクターに内蔵できる、組込用モジュールとしての提供も行っていきたいとしている。
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