ITmedia NEWS >

MPEG-2も変換不要――“大人”の携帯動画プレーヤー、NEC「VoToL」レビュー(4/4 ページ)

» 2006年02月16日 09時01分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

 Transpeechは内蔵の音声翻訳エンジンを利用した旅行英会話支援機能で、日本語で話した内容を認識/英文翻訳したうえで、英文として発声する。その位置づけから、認識できる会話は旅行会話に限られるが、音声認識の精度も高く、なかなか使えるという印象だ。

photo 「赤ワインをください」と話しかけてみた。滑舌が悪かったのか「墓ワインをください」と認識されてしまったが、「ワインをください」という認識候補も表示された

 約7000の例文を収録したトラベル英会話集も搭載されており、「機内」「空港」「ホテル」「ショッピング」「交通」などのシーンで使われる例文を発音付きで確認できる。利用シーンは限られるかもしれないが、英語で話した内容を認識/日本語に翻訳して画面表示する機能も備えている。

photo トラベル英会話集

 転送に若干の時間は必要なものの、iPodやPSPと異なり、基本的にPC側での動画変換が不要という仕様がもたらす恩恵は非常に大きい。録画したテレビ番組をワンアクションで携帯プレーヤーに転送できるのは快適だ。MPEG-2をサポートしている点も高く評価できる。MPEG-2とならんで利用者が多いと思われるDivXは未サポートだが、ファームウェアアップデートでの対応が検討されているという。

photo Image Converter 2 Plusで作成したPSP用動画(.MP4)も認識された

 VoToL Capをメインとした操作インタフェースも分かりやすく、携帯動画プレーヤーとして高い完成度を持っている。SmartVision搭載PCとの連係も、NEC製というメリットをうまく活用しているといえるだろう。しかし、ショッピングサイト「NEC Direct」での専売という販売方法には若干の疑問を感じずにはいられない。

 携帯動画プレーヤーという製品ジャンルそのものは未成熟であり、実際に手にしてみないとその魅力は伝わりにくい。それは本製品でも例外ではない。また、本製品がアピールする“嗜好品”としての質感も直販では伝わりにくいだろう。店頭販売も行いつつ、HDD容量の大きなモデルをWeb専売で用意するといったアプローチがベターであるように思える。

 第5世代iPodやPSP対応スゴ録などが登場し、携帯動画プレーヤーが注目されていることは間違いなく、潜在的なユーザーは多く存在しているはずだ。本製品はMPEG-2ファイルがダイレクトに再生できるという特徴を持つほか、煩雑になりがちなインタフェースも洗練されている。それだけに、国内最大手メーカーのひとつであるNECには、よりよい製品作りだけではなく、市場の立ち上げも期待してしまう。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.