「EG-LR21D」のフロントパネルは、「学習ゾーン」と呼ばれる5つのブロックに分けられている。たとえば左側の黒い部分(ゾーン1)は、VHSなどのビデオ機器ゾーン。「REC」や「ビデオテープ取り出し」ボタンなどを含め、ビデオの基本操作ボタンがレイアウトされている。また、中央のテンキーを含む部分はテレビ用、その上がエアコン、右側の黒い部分はAVアンプといった具合だ。
アルミパネルの左半分はDVDプレーヤー用だが、電源ボタンの横にある無地のボタンを活用すれば、DVDレコーダーにも適用できそう。たとえば、3つの無地ボタンに「録画番組一覧」「EPG」「メニュー」など頻繁に使用する機能を割り当てる。上下左右の方向キーや「ENTER」は用意されているから、ほとんどの作業はまかなえるはずだ。「REC」や「DVD取り出し」ボタンも欲しい場合は、前述のゾーン1を併用すればいい。操作できる機器の数は減ってしまうものの、日本の市場動向を考えると、こうした使い方のほうが現実的だろう。
特徴的なジョグダイヤルは、これ自体に学習機能を持たない。ゾーン3(テレビ操作部)にある、大きな「▲」「▼」ボタンに連動する仕組みだ。試しにソニー製テレビのボリュームアップ/ダウンを割り当ててみたところ、ダイヤルを1回まわすとボリュームが7目盛り動いた。ジョグダイヤルは子どもがぐるぐる回したりする可能性もあるため、この位が上限か。
学習作業は、外観と同様シンプルだ。まず本体右上の「STUDY」ボタンを押してLED(学習インジケーター)を点灯させる。この状態で、オリジナルリモコンの発信部をEG-LR21Dの右側面に向け、学習させたいボタンを押す。リモコン信号を受信すると、LEDが一瞬だけ消えて再び点灯するので、ここでEG-LR21Dの割り当てるキーを押す。「ピッ」という音が聞こえたら登録完了だ。
実際にテレビ、エアコン、DVDレコーダー、AVアンプの各リモコン信号を登録してみたところ、残念ながらエアコン(ダイキン製、96年式)だけは学習できなかった。学習モードに入ったあと、リモコン信号を受信させるとLEDが消灯し、再び点灯してくれない。どうやら、このエアコンの双方向リモコンは、EG-LR21Dの許容範囲を超えた長いコマンドを送信しているようだ。
EG-LR21Dでは、ほかの多機能学習リモコンのように1つのボタンに複数の機能を割り当てることはなく、使用時のページ切替や機器選択といったステップも存在しない。とにかく1ボタン=1機能の単純明快な作りが特徴だ。それぞれの機器をゾーンで切り分け、独立した電源ボタンが設けられているのも分かりやすい。
一方、シンプルなだけに「多数のAV機器の操作を1つのリモコンにまとめたい」というヘビーユーザーには向かない面もある。テレビ、DVDレコーダー、AVアンプ程度のシンプルなリビングシアターなら良いが、複数のDVDレコーダーをバリバリ使っていたり、外部チューナーがいくつも追加してあるようなシステムでは、基本的にボタン数が不足してしまう。
ただ、だからといってAVファン層に向かないわけではない。たとえば子どもたちには動かしてほしくない高価な機材や機能(DVDレコーダーの編集メニューなど)を省き、最小限のボタンだけを集めたリモコンを作ることができる。“家族用リモコン”は、裏を返せば“自分以外用リモコン”になり得る。しかもEG-LR21Dは、リビングに置いても違和感のないデザイン性と、紛失する心配のない大きさを兼ね備えている。家族向けにはうってつけだ。
子どもたちはかわいいけれど、大切なAV機材を無闇にいじってほしくない。EG-LR21Dは、そんな悩めるお父さんたちにこそ、有用な学習リモコンかもしれない。
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