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5つのQ&Aで理解する「HD DVD」(2/2 ページ)

» 2006年04月03日 21時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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Q3 HD DVDのソフトってキレイなの?

――HD DVDソフト=キレイとは一概には言い切れませんが、DVDよりクオリティの高い映像を楽しめます。

 HD DVDはDVDと比べて大きな容量を持っているため、DVDよりも高いクオリティ(高ビットレート)で映像と音楽を記録できる。一例を挙げれば、HD DVDソフト第1弾として登場するポニーキャニオンの「夜桜」は片面2層(30Gバイト)のディスクに24Mbpsという高ビットレートの映像が記録されている(一般的なDVDビデオは7Mbps程度)。

photo HD-XA1の発表会で披露されていたHD DVDソフト「夜桜」。DVD盤と比べると細部の表現力がケタ違いに優れている

 映像の圧縮形式には、最新コーデックであるMPEG-4 AVCもしくはVC1を利用するほか(DVDと同じMPEG-2も利用可能)、音声についてもDolby TrueHDやDTS-HDといった最新規格に対応し、対応ソフトとハード(プレーヤーやAVアンプ)を組み合わせれば、非圧縮の7.1chサラウンドも楽しめる。

 容量に余裕があるので、解像度を上げるのも容易。DVDは720×480ピクセル(480i/480p)だが、1920×1080ピクセル(1080i)のフルハイビジョンで供給されるパッケージソフトが多くなるはず。

Q4 どんな製品で楽しめるの? ソフトは何がある?

――2006年4月3日現在で発表されている製品は東芝のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」のみ。ソフトも第1弾として近日発売されるのは5本ですが、近いうちにラインアップは充実することが想定されます。

 1月に行われたInternational CESでは東芝のほか、ThomsonとLG Electronicsがプレーヤーを展示しているが、これまでにHD DVDプレーヤーを展示した国内メーカーは東芝と三洋電機のみ。Blu-ray Disc陣営のソニー、松下電器産業、シャープ、日立製作所、三菱電機、パイオニアなどが各種のBDプレーヤー/レコーダーをさまざな展示会で参考展示していることを考えると少々物足りなくも感じられる。

photo LG ElectronicsのHD DVDプレーヤー「HD-199」

 しかし、HD DVDはPCへの搭載を積極的に進めている。東芝サムスン ストレージ・テクノロジー(TSST)やNECがPC用ドライブを開発しているほか、米MicrosoftやULEAD Systemsなど著名なソフトベンダーもHD DVDへの対応を表明している。なお、次期WindowsOSである「Windows Vista」でのサポートも既に明らかにされている。(関連記事:MS、Windows Vistaのコンシューマー向け機能を披露)

 ソフトについては、第1弾として「夜桜」「virtual trip さくら nostalgia」「virtual trip THE MOVIE 地球の大自然」(ポニーキャニオン)、「ネバーランド」(東芝エンタテインメント)、「SHINOBI」(松竹)が登場。その後に「パッチギ!」(ハピネット・ピクチャーズ)「ブラザーズグリム」(ハピネット・ピクチャーズ/東芝エンタテインメント)、「リディック」(東芝エンタテインメント)、「砂の器」(松竹)、「戦国自衛隊1549」(角川ヘラルド映画)、「キース・ジャレット/東京ソロ 2002」(ビデオアーツ・ミュージック)などが順次発売される。

photo  ポニーキャニオンの第一映像事業本部 本部長の大柳英樹氏

 Blu-ray Discとのライバル関係もあり、すべての映像ソフトがHD DVDで発売されるとはいかない可能性が高い(Sony picturesのようにBDを優先することを確実視するスタジオもある)が、多くのソフトベンダーは時流を見て対応するようだ。

 今回、「夜桜」「virtual trip さくら nostalgia」などを発売するポニーキャニオンの第一映像事業本部 本部長の大柳英樹氏も「ソフトメーカーとしてはフォーマットにこだわらず、将来性あるハードに対応するソフトを出していきたい」とコメントしている。

Q5 レコーダーは登場するの?

――正式な発表はまだですが、夏ボーナス商戦期には登場すると予想されています。

 規格自体が完全に策定完了していないこともあり、HD DVDレコーダーの登場はまだどのメーカーからもアナウンスされていない。ただし、東芝の執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏は「(6月に行われる)サッカー ワールドカップには間に合わせたい」と発言しており、数カ月のうちに発表されることが見込まれている。

 録画用ディスクとしてはHD DVD-RやHD DVD-Rewritableなどが登場する予定だが、気になるのが価格。DVD-Rにかわるポジションに位置するHD DVD-Rメディアの価格は「DVDよりは高いが、Blu-ray Discより安い」というところに落ち着きそうだ。

 1月に掲載した本田雅一氏のインタビューで東芝デジタルメディアネットワーク社 主席技監の山田尚志氏は、東芝はメディアの製造販売を行っていないがと前置きしながらも、「容量単価でBlu-ray Discより安くなるのは間違いないと思います。BD-Rの1層25GバイトとHD DVD-Rの2層30Gバイトでは、HD DVD-Rの2層の方が安くなるのではないでしょうか」と答えている。

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