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スカパー新パッケージ、チャンネル名が重要に西正(1/2 ページ)

» 2006年04月13日 15時23分 公開
[西正,ITmedia]

視聴者に選択肢が

 スカパーの新パッケージは、月3500円で69チャンネルが視聴できる「よくばりパック」と、69チャンネルの中から自分の好きな15チャンネル選ぶことができる「えらべる15」が月2800円で提供されている。

 多チャンネル放送は専門放送の集まりである。映画が好きな人にとっての映画専門チャンネルや、音楽が好きな人にとっての音楽専門チャンネルは、地上波の総合編成とは一味違った魅力がある。

 テレビ放送を有料で視聴するといった習慣もそれほど珍しくはなくなってきたが、CSの多チャンネル放送はよい意味でもそうでない意味でも数が多い。ジャンルが多岐に渡っているのと同時に、1つのジャンルの中に複数のチャンネルがある。

 本当に見たいチャンネルが1つしかなければ、単品で1チャンネルと契約すればよいのだが、300もチャンネルがあることを考えれば、せっかくなので幾つかのチャンネルを追加で契約しようと考えるのは自然である。

 なお、CSチャンネルの視聴手段としては、パラボラアンテナを設置して衛星から直接受信する方法と、ケーブルテレビに加入して視聴する方法とがある。

 ケーブルテレビの場合は、基本的にはケーブルテレビ局側が選んだ15〜30のチャンネルがベーシックパックとしてセットで付いてくる。ケーブルテレビの加入動機も当初は難視聴対策が中心であったが、今では多チャンネル、電話、インターネットとトリプルメニューを揃えたところが多くなってきている。

 ケーブルテレビのベーシックパッケージでは、ケーブルテレビ側が視聴者の要望を推測して加入者に対し一律のチャンネルを提供している。

 多チャンネル放送に不慣れな段階では、300もあるチャンネルの中から自分の好きなチャンネルを選ぶのは難しい。ケーブルテレビ側が選んでくれたメニューに沿って、加入者はその中から、自分の好きなチャンネルがあればそれを視聴するというスタイルをそれほど不便には思わなかった。

 それだけに、番組供給事業者(番供)側からすれば、ケーブルテレビのベーシックパッケージに入れるかどうかは視聴世帯数を伸ばす上での最重要課題であり、売値のダンピングを行ってでも何とか入り込もうという事業者も少なからずいるようだ。

仮にそうしたことでケーブルテレビ側がベーシックパッケージの一部を決めているとすると、加入者にとってベストなチャンネルラインアップになっているとは限らないことになる。

 地上波の難視聴が解消できてBS放送もアンテナ無しで見られることが、ケーブルテレビに加入することの最大の動機付けとなっている加入者も多い。見たいわけではないCSチャンネルがセットで販売されることを快く思っていない加入者もいないとは言えないのだろうが、見たくないものは見ないで地上波とBSで満足しているケースが多いようだ。

 しかしながら、視聴者も有料の多チャンネル放送に慣れてきたせいか、自分の見たいチャンネルがベーシックパッケージに入っていない時には苦情を言う人が多くなってきているという。ケーブルテレビも大手通信事業者が高速ブロードバンドや電話とセットで多チャンネル放送も売るというように、競争環境が激しくなってきたこともあり、ベーシックに組み込むチャンネルも安ければよいというわけにはいかなくなってきた。

 とはいえ、現状のケーブルテレビ事業者の回線レベルでは、ベーシックに組み込めるチャンネル数に限りがある。スカパーの全チャンネルを取り込めるのなら、その中から視聴者が好きなチャンネルだけを選択してパッケージ化することもできるだろうが、事務的にも煩雑になるし、今のところはあくまでもケーブルテレビ側の選択でチャンネルが決まっている。

 スカパーの新パッケージは衛星から全チャンネルを降らしていることもあり、「よくばりパック」と「えらべる15」という組み合わせを作って、視聴者が「よくばり」の69チャンネルの中から、自分の好きな15チャンネルを選べるようにした。

 視聴者側の好みはまちまちであるに決まっているので、各人が自分専用のパッケージを組成できるようになったことで明らかに視聴者が選択肢を持つことができるようになった上、単品で複数チャンネルを契約するより割安のパッケージという仕組みの利便性が増したことになる。

 番供の中にはこの仕組みに不満を持つところもあるようだが、本来の多チャンネルの魅力をアピールするのなら、視聴者ごとに自分の好みにあったパッケージを組成出来るようになったことは、多チャンネル放送市場の拡大につながると前向きに捉えるべきだろう。

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