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コラム
» 2006年04月13日 15時23分 公開

西正:スカパー新パッケージ、チャンネル名が重要に (2/2)

[西正,ITmedia]
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チャンネル名が決定的に重要に

 視聴者側のメリットだけを強調すると上記のような捉え方になるわけだが、そうは言っても、69チャンネルもある中から自分の好きな15チャンネルを選ぶということは簡単ではない。無料視聴期間があるとはいっても、そうそうテレビばかり見ていられないし、仮に見ながら決めるにしたところで、たまたま自分が見た時に放送されていた番組が面白かっただけとか、つまらなかっただけであるのかもしれない。番組表が充実していればともかく、CSチャンネルの番組表を見る限りでは、殆ど番組内容は分からないような書き方になっているので役に立たない。

 それでもこだわる人は、700円多く払うことによって「よくばりパック」を契約しておいて、時間のある時に一つ一つ吟味しながら15チャンネルを選ぶことは可能である。700円を、選択期間を長めに得るために使えると考えられないことはない。

 しかし、たいがいの人にとっては、地上波もあり、BSもありという中で、一日の平均テレビ視聴時間が3時間半程度に収まっている以上は、やはりチャンネルは15もあれば十分だろうと考える人が多いようだ。

 そこで、15チャンネルをどう選ぶかということになる。視聴者に15の中に選ばれた数によって、1位から順番にチャンネルの順位が出てくる。残念ながら、その順位は今のところ公表されていないので、筆者がそれを明かすことは避けるが、その順位表を見ていると非常に分かり易い傾向値が見られる。

 それは、15のチャンネルを選ぶ際には「視聴者がチャンネル名を見て、番組内容が分かる」ことがポイントになっているということだ。例えば、地上波系のフジテレビ721、同739、TBSチャンネル、テレ朝チャンネルなどは非常に上位にある。地上波が過去に流した番組を中心として、アディショナルに地上波局ならではの番組が加わっていることが、視聴者にとって非常に分かり易いからである。

 また、アニマックス、ムービープラス、日本映画専門チャンネル、時代劇専門チャンネルなども上位にある。これらのチャンネルも名前を見るだけで、番組内容について想像が付くという点が強みを発揮していることは明らかだ。逆に、チャンネル名を見ただけではどのような番組が見られるのかがさっぱり分からないチャンネルは、番組内容の良し悪しとは全く別に、どうしても順位が低くなってしまう傾向が見られる。

 おそらく多チャンネル放送のスタート時には、凝ったネーミングをしたかったのかもしれないが、今となっては明らかにそれが逆効果になってしまっているようだ。外資系のチャンネルで、本国のチャンネル名をそのまま使っているケースでも苦労している様子がうかがえる。本国では知らない人はいないのかもしれないが、日本では知名度が低くて何のことやら分からなくなってしまっているチャンネルも苦戦している。

 視聴者がパッケージを組成できることの魅力は、これからさらに増していくことになるだろう。地上波放送のデジタル化に対応していくことは、ケーブルテレビにとって不可欠となっている。回線の高度化も進むだろう。そうなれば、今回のスカパー新パッケージ方式の方が、加入者の満足度も高くなっていく可能性は大きい。

 早めにチャンネル名の変更を行い、チャンネル名を見るだけで放送される番組内容の想像がつくような工夫を行うことが肝要と言えるのではなかろうか。「えらべる」パッケージが主流となっていくことに対応するならば、よいネーミングを確保することは早い者勝ちであることは間違いない。

 序に「えらべる」の順位を見て気になったのは、ニュース系が不振であるということだ。有料であることを考えると、チャンネルを選択する際にどうしてもエンターテイメント系が選ばれやすい事情は分からないでもない。「えらべる15」にしても、ニュース系が1チャンネルは必ず入るような形に変えていくことも、検討材料になるように思われる。パッケージが用意されているということは、自分で選べと言われると難しいと感じる視聴者向けの便宜であったはずである。

 視聴者が「えらべる」の組成に慣れるまでは、ニュースだけはどれか1チャンネル選ばざるを得ないようにしておくことも、重要な視聴者サービスになるのではなかろうか。


西正氏は放送・通信関係のコンサルタント。銀行系シンクタンク・日本総研メディア研究センター所長を経て、(株)オフィスNを起業独立。独自の視点から放送・通信業界を鋭く斬りとり、さまざまな媒体で情報発信を行っている。近著に、「IT vs放送 次世代メディアビジネスの攻防」(日経BP社)、「視聴スタイルとビジネスモデル」(日刊工業新聞社)、「放送業界大再編」(日刊工業新聞社)、「どうなる業界再編!放送vs通信vs電力」(日経BP社)、「メディアの黙示録」(角川書店)。

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