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ワイドズームで他社との差別化を図る――「Caplio R4」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(1/4 ページ)

» 2006年04月14日 18時45分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 近ごろ、ワイド撮影をウリにしたデジカメが目立ってきた。松下電器産業「DMC-FX01」のテレビコマーシャルでは、28ミリワイドの魅力をさかんに宣伝している。だが今回取り上げるのはそっちではなく、もっと以前からワイドズーム機に力を入れているリコーの最新作「Caplio R4」だ。

 同社は2003年に、35ミリ換算で28〜85ミリ相当の焦点距離を持つ「Caplio G4 wide」を発売して以来、マイナーチェンジ機も含めると2年半の間に実に14台ものワイド機を発売してきた。ボディが大きなデジカメではワイドズームの搭載は珍しくないが、Caplioシリーズでは、コンパクトボディなのにワイド対応であることがポイントだ。

 最近では、松下電器産業のほかにキヤノンやコダックなどもこの分野に進出しているが、実績から見れば“ワイドといえばリコー”といっていい。しかもCaplio R4は、ワイド側だけでなくテレ側での撮影にも強い光学7.1倍ズームである。

 そのCaplio R4の商品企画を担当したリコー ICS事業部 商品企画グループ 主席係長技師の福井良氏と、主に画像関連の設計を担当したリコー ICS事業部 設計室 設計2G 係長技師の中平寿昭氏に、開発の狙いや経緯を話してもらった。

photo リコー「Caplio R4」
photo リコー ICS事業部 商品企画グループ 主席係長技師の福井良氏
photo リコー ICS事業部 設計室 設計2G 係長技師の中平寿昭氏

ワイドズームにこだわる理由

――今春発売のCaplio R4は、昨秋発売のCaplio R3をベースにして画素数アップなどを図ったモデルですね。それぞれの開発はいつごろ、どんな狙いで始まったのですか?

福井氏: 当社のデジカメでは一貫して「撮影領域の拡大」というコンセプトを掲げています。Caplio R3は、それまでの製品の特徴であるワイド側28ミリ相当を維持したままテレ側を拡張し、広角だけでなく望遠にも強いデジカメを作ろうと考えました。開発がスタートしたのは昨年の春ごろです。

 仕様を決める過程で、CCDを5メガにするか6メガにするかを検討しました。しかし、その時点では6メガCCDの十分な供給が間に合わないという理由から、まずは5メガのモデルとしてCaplio R3を昨秋に発売しました。しかし、光学系や基盤などは6メガにも対応できるように作り、将来的にはシリーズとして6メガ版を出すことも決めていました。

 そして、Caplio R3の発売から約半年後の今年3月に、6メガモデルCaplio R4を投入しました。国内販売に関してはR3からR4に切り替えていきます。

――そもそも、なぜワイドに力を入れているのですか?

福井氏: 2003年秋に、標準的な焦点距離の3倍ズーム機「Caplio G4」と、ワイド対応の3倍ズーム機「Caplio G4 wide」の2台を同時に発売しましたが、特に好評だったのはCaplio G4 wideのほうです。ワイドの魅力を理解いただけるユーザー層が確実にいると感じました。

 我々は、デジカメの分野で大きなシェアを取っているメーカーではありません。他社にはない特徴を持たなければ、お客様に強くアピールすることは難しいと思っています。そこで、Caplio G4 wideの成果を踏まえ、それ以降のメインのモデルはワイドズーム機にシフトしたのです。

――ワイドのメリットを一般ユーザーに訴求するのは難しくないですか?

福井氏: カメラ自体に特に興味があるわけではない一般のユーザーには、確かにワイドの訴求は難しい面があります。しかし、我々がいちばん狙っているターゲットはカメラ好きの人たちです。例えば、仕事でも仕事以外のオフタイムでも毎日のようにカメラを持ち歩き、いつでも写真を撮りたいと思っている人たちです。

 そんな人には、28ミリワイドの魅力はすぐに分かっていただけるはずです。また、普通のコンパクトデジカメを使っていた人が買い替えや買い増しをする際に、今まで以上に広い範囲を写せるデジカメとして、選んでいだける製品を目指しています。

photo 光学7.1倍ズーム搭載とは思えないほどコンパクトボディのCaplio R4
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