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AV製品連係の「xxリンク」、パイオニアと松下で“できること”の違いコラム(2/2 ページ)

» 2006年04月20日 15時49分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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実はケーブルレスの「レコーダーホットリンク」

 ビエラリンクは機器間のやりとりに、HDMIケーブルに用意されている操作信号伝送用の予備ラインを利用する。HDMIは本来、映像と音声を伝達するためのインタフェースなので、1本のケーブルで映像/音声/制御信号の3つを伝達できる。結果として、ケーブル接続の煩雑さも解消できる。

 一方のレコーダーホットリンクだが、実はテレビとレコーダーの間に制御信号を伝達させるケーブルは存在しない。どのようにしてテレビのリモコンからレコーダーへ信号を伝えているのかといえば、リモコンからテレビへ赤外線で送られた信号を、テレビからレコーダーへもう一度、赤外線で送っているのだ。そのため、PDP-427HXとPDP-507HXのいずれにも赤外線送信機が用意されている

photo PDP-507HXに用意されている赤外線送信機
photo 赤外線送信機は背面のビデオコントローラー端子に接続する

 赤外線送信機を設置しなくてならない分、配線の煩雑さは増してしまうが、メリットもある。ひとつはテレビとレコーダーの接続方法を問わないこと(コンポジットでもなんでもいい)、もうひとつは対応レコーダーの種類が多いことだ。

 レコーダーホットリンクに対応するレコーダーは、同社が2002年以降に販売したHDD搭載DVDレコーダーとなっており、その数は非常に多い(ビエラリンクに対応するレコーダーは、「DMR-EX550」など4機種にとどまっている)。また、赤外線という汎用的な信号伝送方式を利用するため、同社以外の主要メーカー製品ならば、PDP-427HX/PDP-507HXのリモコンから、再生/停止や十字キー操作といった基本的な操作が行える。

「ワンボタン」という設計思想

 赤外線を利用してレコーダーの操作までをテレビのリモコンで行うという仕組みは、学習リモコンのそれに近い。よく知られているように、多くの学習リモコンは自分でカスタマイズ(セッティング)しなければならないという煩雑さこそあるものの、ワンボタンに複数の複合したアクションを割り当てることが可能だ。この「ワンボタン」という設計思想こそが、レコーダーホットリンクとビエラリンクとの決定的な違いを生み出している。

 ビエラリンクはさまざまな機能を持ち、AVアンプまでも操作可能だが、リモコン上での操作ではどの機能を利用するにも、一度はサブメニューを呼び出す必要がある。複雑化するAVシステムの操作を容易にすることは間違いないが、「ワンボタン」の方が簡潔さでは上回るだろう。

 「PDP-427HXとPDP-507HXで“コンテンツを徹底的に楽しむ”というコンセプトを掲げる際、さまざまな機器を組み合わせても操作はできるだけシンプルにすることが最も必要だと考えました。GUIを導入するという考えもありましたが、ワンボタン=ワンアクションと割り切った方が、より分かりやすい操作を実現できると考えました」(同社 プラズマディスプレイカンパニー 商品企画部 セット商品企画部 民生企画グループ 主事 石塚朋広氏)

photo 同社のイメージする、プラズマテレビを中心にしたさまざまな機器との連携

 ただ、ワンボタンというわかりやすさを提供しても、利用できるのがHDDライブラリ呼び出しだけというのは機能的に少々さみしい気がする。この考えを追求する限りでは多機能化=ボタン増=操作がわかりにくくなる、という危険もはらむために慎重になるのは理解できるが、現在の方式では赤外線送信機の設置という煩雑さも残っている。

 「赤外線をこのまま利用し続けるか、HDMIなどそのほかのアプローチを導入するかは検討段階です。ただ、ワンボタンで便利な機能を提供するという、考えは維持していくつもりです」(石塚氏)

 放送のデジタル化やレコーダーの普及、CATVを含めた多チャンネル化など、「テレビ」を取り巻く環境は急激に変化しており、リビングのAV機器も複雑化・多機能化が避けられない状況だ。多機能化と操作の簡便さという相反する課題に対して、同社がどのような解答を出していくのか、今回の「レコーダーホットリンク」から始まる同社の提案に注目したい。

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