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iPodで楽しめるバランスに優れたホーンサウンド――Klipsch「iGroove」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年05月01日 15時31分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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バランスに優れたホーンサウンド

 本体に設けられている操作インタフェースは電源と音量調節ボタンのみとシンプル。iPod装着時にはiPod本体の音量調節は無効となり、本製品の音量調節のみが有効となる。パッケージには電源オン/オフ、音量アップ/ダウン、早送り/早戻し、再生/一時停止の各操作が可能なリモコンが付属する。

photo 付属リモコン

 利用に際して必要な作業は、iPodを差し込むだけ。iPod Hi-FiではiPod nanoならびに第5世代iPodを接続した際に限り、iPodのメインメニューに「スピーカー」の項目が表れ、簡単な音質調整とバックライトのON/OFF、アートワーク拡大表示のON/OFFが行えるが、本製品にiPodを装着してもこれらの項目は表れない。

 iPod Hi-Fiをデスクサイドのサイドテーブルに置き、第5世代iPodに収録したMP3(ビットレート160kbps)とiTunes Music Storeから購入したAACを本製品から鳴らしてみた。コンパクトといって差し支えないサイズだが、しっかりとした音の広がりを感じさせ、高音域から低音域までバランスよく再生する。過度に強調された部分は感じられず、耳に優しいサウンドだ。

photo

 開封直後でエージングも完了していない段階のためか、やや中域の存在感が希薄に感じられ、いわゆる眠たい印象を受けた瞬間もあったが、全体的には歯切れの良さを感じさせる“ホーンっぽい”サウンドといえる。快適に聴けたのはロックやポップスなどで、特にディストーションの効いたギターサウンドが大切なハードロックではその躍動感やスピード感をリアルに伝えてくれる。

 ただ、ジャズやヒップホップなど特に低音の存在感が重視される楽曲については、やや迫力不足にも感じた。6.4センチのウーファーを搭載しており、低音の押し出しも必要十分なのだが、iPod Hi-Fiのようなボディサイズの大きな(容量の大きな)タイプに比べると、どうしても多少の見劣りがしてしまうようだ。しかし、筆者個人としては低音を強調するサウンドを好まないこともあり、むしろ各音域のバランスを重視した製品であるという印象を受けた。

 左右スピーカーが接近している構造上、正面から聴いてもステレオ感は薄い。音像を室内に広く伝播させるセッティングが施されているホーン型スピーカーには強い指向性を持つという特徴もあるが、本製品においてその特徴は弱められており、室内を移動するなどしてリスニングポイントをずらしてもさほどの違和感なく音楽を聴くことができる。

 音の伝播範囲だが、利用してみた限りではリビングなど広域な空間に行き渡らせるというよりも、個人の部屋などパーソナルスペースに音を行き渡らせることを重視しているようだ。以前、米Apple幹部がiPod Hi-Fiについて、「3人〜5人が集まるリビングルームに最適化されている」とコメントしているが、本製品はもう少しパーソナルな(狭い)空間に音を行き渡らせることを重視しているようだ。本製品の販売を行うヤマハでも「利用スペースとしては4〜10畳程度を想定している」としている。

 音の広がり方がスムーズなほか過度な強調が少ないため、今回のようにデスクサイドに設置しても聞き疲れすることなく、普段使いのiPod用スピーカーとして活用できる。3万円前後という実売価格はiPod用スピーカーとしては高価な部類にはいるが、iPodのリスニング環境をより豊かにするアイテムとして、選択肢に含めてもよい製品だ。

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