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れこめんどDVD「リディック(HD DVD)」DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2006年06月09日 08時43分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

「リディック(HD DVD)」

発売日:2006年4月28日
価格:5040円
発売元:東芝エンタテインメント
上映時間:118分(本編)
製作年度:2004年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタルプラス/5.1chサラウンド/英語
音声(2):ドルビーデジタルプラス/5.1chサラウンド/日本語

「ピッチブラック」の続編、評価されたのはDVD化以降

 ヴィン・ディーゼル製作・主演の「リディック」は2000年に公開されたSFホラー「ピッチブラック」の続編だ。前作のあらすじを簡単に説明すると、宇宙を航行中、事故に遭って謎の惑星に不時着した移送船の生存者が、その星に巣食う未知の生物の襲撃を受けるというもの。生存者の中には凶悪犯罪者リディックも含まれ、彼の生存本能がその他の人々の救出にもひと役買う。しかし結局、生き残ったのはリディックを入れてわずか3人だった。

 「ピッチブラック」は低予算で製作された作品だが、映像の色調を変えたりして、独特の世界観を作り出すことに成功。当時、人気が出始めていたヴィン・ディーゼルの存在感も手伝って、カルト的な人気を得た。因みに本来の主役と言える女性隊長を演じるのは「サイレントヒル」にも出演しているラダ・ミッチェルだ。ヴィン・ディーゼルはその後、「ワイルド・スピード」「トリプルX」などのアクション映画でトップスターになるが、彼自身リディックのキャラクターをもっと掘り下げたいと切望して、続編「リディック」が作られた。

 監督は「アライバル 侵略者」「ビロウ」など規模は大きくないもの、予算以上のスケールに作品をまとめられるデヴィッド・トゥーヒーが「ピッチブラック」に続き登板。しかし1億1000万ドルという莫大な製作費をかけて製作されたものの、全米での興行は6000万ドル足らずという期待を大きく裏切るものだった。

 日本での公開もかなりの規模だったが、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」や「スパイダーマン2」とぶつかり、期待された数字は残せなかった。「リディック」が本当に評価されるようになったのは、DVDになってからだと言えるだろう。低予算作品ではなし得ない豪華なVFXシーンの数々、デヴィッド・リンチの「砂の惑星」を彷彿させる古めいたセットや装飾、スピード感あふれるアクションシーン、B級作品で鍛えてきた製作陣の様々なアイデアなどなど。

 またDVDでは15分長尺のディレクターズ・カット版も発売され、大きな話題となり、ホームシアターファンを狂喜乱舞させた。筆者も「ディレクターズ・カット」と「劇場公開版」をセットにした「コレクターズ・エディション」のDVDを購入し、「リディック」を繰り返し見てきた。それだけに今回、HD DVDでソフトがリリースされると聞いたときには喜びもひとしおだった。

待望のHD DVD ソフト化!DVDとは次元が違うクオリティの高さ

 HD DVDは言うまでもなく、東芝が提案する次世代DVDのフォーマットの1つ。ハイビジョンで映画や音楽作品を楽しむことができる大容量がウリだ。しかし発売されている映画ソフトはまだ「ネバーランド」「SHINOBI」「パッチギ!」と、この「リディック」程度(2006年5月末現在)。現在予定されているリリースを見ても、ワーナーとユニバーサルが合わせて月に10作品近く発売している全米の状況には追いついていない。それだけにユーザーとしてはプレーヤーを含めて購入をためらっているのが実情だろう。しかしそんなユーザーでもこの「リディック」の映像を見たら気持ちは一変するかもしれない。それほどの高画質をこのソフトは持っているのだ。

 まず冒頭の東芝エンタテインメントのロゴからしてDVDとは次元が違う。緻密な会社ロゴに続き、メインメニューが表示される。メインメニューのデザインは「本編開始」「セットアップ」「チャプター」「特典映像」と、内容自体は変わっていない。

 しかしスゴイのは本編開始後の映像だった。ユニバーサルのロゴから、悪の軍団ネクロモンガーによる惑星征服が描かれるが、彼らが身に付けている鎧の質感がDVDとは全く違って、重さを感じるものになっている。また惑星のあちこちで爆発が起きている様子を星全体のロングショットで捉えた画も、ここまで作りこんであったのかというほど細部が見えてきて、正直身震いした。

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