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Blu-rayパッケージソフト、北米版の出来は?速攻レビュー(1/2 ページ)

» 2006年06月20日 10時21分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 北米で6月20日より、いよいよ……いや、やっとというべきか、Blu-ray Discを用いたパッケージメディアが発売になる。日本では先行してソニースタイルがBlu-ray Discドライブ搭載のVAIOに「S.W.A.T.」を期間限定で無償添付するが、店頭にならぶパッケージとしては、Sony Pictures Entertainment(SPE)が6月20日に発売する北米版が一番早い。

 米国では、すでにSamsung製BDプレーヤーと同時に入手しているユーザーもいるようだが、筆者の手元にも1枚だけパッケージソフトが届いた。さて、店頭販売される初めてのBlu-ray Discとは、どのような品質を持っているのか? 今回は、プレーヤー代わりに「VAIO Type A」を用意し、フルHDプロジェクターの「VPL-VW100」との組み合わせで試聴してみた。

photo 「Hitch」。邦題は「最後の恋のはじめ方」(C) 2005 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

19MbpsのMPEG-2とリニアPCM音声

 試聴したのは、SPEの初期タイトルから「Hitch」。邦題は「最後の恋のはじめ方」だ。この映画は、昨年公開された比較的新しいもの。恋に悩むまじめな男性に対し、恋愛を成功させるためのアドバイスを送る恋愛コンサルタントをウィル・スミスが演じたコミカルタッチのラブストーリーである。

 ほかにも新作パッケージソフトの「Underworld Evolution」、旧作ながらオペラのシーンにおける音質に期待したい「Fifth Element」なども発注しているが、こちらが届くのは23日ぐらいになりそうだ。

 これらSPE制作の初期BDタイトルにはいくつかの特徴がある。

 ひとつは可変ビットレートのMPEG-2を用いていること。JavaではなくBDMVという、DVDのメニュー形式を拡張したアプリケーションフォーマットを用いていること、それに音声として非圧縮のリニアPCMを用いていることだ。実際、音声クオリティはさほど求められないと思われるHitchでさえ、英語音声はリニアPCMとDolby Digital 5.1が収録され、もう1本、フランス語のDolby Digital 5.1音声も入っていた。

 さらに字幕は英語、聴覚障害者向け英語字幕も各1と数えると、韓国語、中国語、タイ語などのアジア系言語も合わせて8カ国語が収録されていた。以前、日本語字幕も北米版の中に入れようというアイディアも聞いていたのだが、最終的には(日本での販売契約の関係か)見送られたようだ。残念。字幕だけでも入っていれば、立ち上げ初期における日本国内のソフト不足解消にも一役買うのだろうが……。

 さて、このディスクをVAIOの中に入れ、フォルダの中身を見る。BDの場合、映像と音声は同一ストリームに織り込まれたトランスポートストリームで記録されている。本編とおぼしきファイルを探すと、そのサイズは約21400Mバイト。本編の長さは118分なので、24Mbpsを少し超える程度のビットレート(音声を含む)であることがわかる。

 次にVAIOから「WinDVD BD」を起動し、今度は各音声ストリームのビットレートをチェックしてみた。Dolby Digital 5.1は、規格上は640Kbpsまで許容されるが、今回収録されているものは両言語とも448Kbpsで、おそらくDVD収録の音声と同一のもの。一方、リニアPCMは4.6Mbpsと表示された。映画のオリジナル音声は、24ビット48kHzあるいは24ビット96kHzで収録され、サラウンド音声へと編集後に24ビット48kHzとなる。しかし、このビットレートを見る限り、ディスクへの収録は16ビット48kHzで行われているようだ。

 実際にはHDMIのマルチ音声に対応したAVアンプを用いれば、音声フォーマットを正確に把握できるのだが、あいにくテスト環境にHDMIのマルチチャンネル音声をサポートするものがなかったため、上記はあくまでも数値からの推測である。

 さて、WinDVD BDでは可変ビットレートのビデオは最大ビットレートしか表示されない。その表示を信じるならば30Mbpsが映像最大ビットレート。さらに全体の平均から音声の分を差し引くと、おおむね平均19Mbpsが映像に割り当てられていることになる。

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