肝心の画質だが、かなりツメが甘く、チューニングをあまり気にせずに圧縮を行った印象だ。そもそものテレシネから甘いのでは? と思わせる輪郭の甘さはともかく、一部でクロマ(色成分)が滲んでいたり、まだらな色ノイズが見える。くわえてブロックやモスキートなどMPEG特有のノイズも目についた。
簡単にいえば、画質に褒めるところはない。部分、部分でふと良い印象を持つシーンも出てくることはあるが、おおむね階調の不足と背景ディテールの崩れが目立ち過ぎて、どうしても気になってしまう。フィルムグレインをほぼそのまま残していることも、圧縮歪みが目立つ原因にもなっているのかも。VAIO Type Aの液晶画面で見る程度なら、気にならない程度のものだが、大画面テレビやプロジェクターで見る場合はアラが目立つ。
19Mbpsといえば、地上デジタル放送よりもビットレートは高く、一部のBSデジタルにも迫るレートだ。さらに可変ビットレートであることを考えると、首をかしげたくなる。最近のMPEG-2はビットレートが低めでも、チューニング次第でかなり高い画質を実現できるため、19Mbpsという数字が悪いとは思えない。
タイトルによって画質が大きく違うことは、DVDでもよくあることだ。たとえば先日発売された「キング・コング」は3時間半という長尺ものながら、1枚のディスクに見事に収めきった上で、プロジェクターでの大伸ばし投影にも耐える画質を実現していた。
一方、オマケで収められていた「Underworld Evolution」と「Into the Blue」の予告編に関しては、同じくMPEG-2での収録ながら、階調数、歪み、ノイズなど、あらゆる面でHitchの本編よりも良好に見えた。もしかするとHitchだけの問題かもしれないが、その答えは23日に別のタイトルが届いた時にならねばわからない。MPEG-2収録の1層BDソフトの画質に関する最終的な判断は、少し先送りにしておこう。
さて、最後に“BDの弱点”と指摘され続けていた指紋に対する強さをテストしてみた。
ディスクに対してランダムにいくつかの指紋をつけて再生させたが、何の問題もなく再生できる。さらに重ねて何度も指紋をつけていると読めなくなるが、相当に指紋をつけた状態での話だ。同等の指紋をHD DVD、あるいは通常のDVDに付けると同じように読み取り状態が悪くなる。むしろ軽く指紋を付けた状態であれば、BDの方が指紋に対する耐性は強いようにも思える。
もちろん、ハードコートが施されているため、ティッシュで擦って指紋を拭き取れば、元通り、傷もなく正常な状態に復帰する。また指紋の拭き取りやすさも、ハードコートを施しているBDの方が簡単に皮脂が落ちる。このあたりはBD陣営が常に主張していたことと一致しており、BDの弱点とされた指紋問題は、とりあえず気にする必要はないようだ。
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