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包み込むディスプレイから「スカウター」まで産業用バーチャルリアリティ展(1/2 ページ)

» 2006年06月23日 21時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 今年も東京ビッグサイトで「産業用バーチャルリアリティ展」が開催された。自動車や家電の展示会に比べればその規模こそは大きくないが、今回で14回目を迎えるほか「バーチャルリアリティ業界 日本最大の専門技術展」と銘打つだけあって、かなりのにぎわいを見せていた。

仮想現実に飛び込んだ感覚を与えるディスプレイたち

 今回は全体的に見ても実験的・先端的な展示はあまり目立たず、「バーチャルリアティを利用者へいかに提供するか」といった具体例を示す展示が多く見られた。その最たるものが、半円形ないし扇形のスクリーンを用意し複数のプロジェクターで、利用者を包み込むように映像を映し出す「没入型」の映像システムだ。

photophoto 三菱プレシジョンの「プロジェクションクラスタ」(左)。リアルビスの非圧縮高解像度映像再生システム(右)。

※初出時、右側画像につきまして、松下電器産業/松下電工の展示であると記載いたしましたが、謝りでしたので訂正させて頂きました。関係各社には深くお詫び申し上げます。

 こうした没入型システムを展示していたのは、三菱プレシジョンやリアルビス、クリスティ・デジタル・システムズなど。

 直径3メートルの半円形という大型のスクリーンを設置していたクリスティ・デジタル・システムズの「ARC Vision」は1400(幅)×1050(縦)ピクセルのプロジェクターを3基使用し、2300(幅)×1400(縦)という高解像度の映像を映し出す(2300×1400というピクセル数になっているのは、プロジェクターを縦にして使っているのと、プロジェクターを複数使用する際にはある程度、映像を重ねる必要があるから)。

photophoto クリスティ・デジタル・システムズの「ARC Vision」(左)、会場では洋上のCGが流されていたが、解像度が高いために波の表現も非常にリアル(右)

 大迫力の没入型システムだが、導入の課題は大きく分けて2つある。ひとつは半円形ないし扇形のスクリーンが高価であるということ。システムのうち最も高価なのがスクリーンであり、どうしてもオーダーメードになってしまうのでなかなか安価に提供するのは難しいのだという。もうひとつはコンテンツだ。

 フラットな画面に投射するわけではなく、しかも複数のプロジェクターを使うという仕組み上、一般的な映像素材をそのまま使うことはできない。どこかで映像を適した形に変換するか、360度撮影できるような特殊なカメラで撮影した素材を用意する必要がある。前者の場合、リアルタイム映像の投射が難しいという問題も残る。三菱プレシジョンでは、一般的なNTSCやRGBからの映像出力をリアルタイムで、マルチプロジェクタ/変形スクリーンに投射できるよう変換するデバイスを発売する予定だという。

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