三洋電機は7月18日、投影距離が短い「超・短焦点レンズ」を搭載した液晶プロジェクター「LP-XL40」を発表した。スクリーンなど投影面の近くに置いて大きな画面が映せるため、狭い場所でのプレゼンテーションなどに活用できる。主に教育市場とビジネス市場を想定しており、10月から販売する予定だ。価格は49万8000円。
液晶プロジェクターの光学系は11枚のレンズで構成されるが、XL40ではその外側に大口径非球面レンズを2枚付加することで焦点距離を短縮した。レンズの口径は「LP-Z4」の約1.8倍。これにより、103センチの投映距離で80インチ、最短距離の76センチで60インチの大画面を投映できるという。
同社AVカンパニー プロジェクタービジネスユニット商品企画部の平尾義周部長によると、「投映距離を短縮するには歪みの少ない大口径レンズが必要だが、今までは精度の問題で作ることができなかった。しかし、綿密な光学シミュレーションと精度向上の結果、“超・短焦点”レンズが可能になった」という。
たとえば教室では、従来は黒板に投影するためには生徒の机の横にプロジェクターを設置しなければならなかった。このため、「プロジェクターが発する光や熱、ファンの騒音などが授業に少なからず支障を与える」(同社の野中ともよ会長)。しかしXL40なら「教卓に設置すれば十分。教室の中心を占領していたプロジェクターを画面に近づけることができる」。
また平尾氏によると、XL40の技術をホームシアター向け製品に適用する可能性もあるという。「(製品開発の)構想はある。ただし、家庭用プロジェクターの場合はレンズシフト機能があり、大口径非球面レンズを採用すると機構が大きくなってしまうのが難点。この問題が解決できれば、市場投入を検討できるだろう」(同氏)。
液晶パネルは、0.6型(1024×768ピクセル)×3枚の3LCD方式を採用しており、総画素数は235万9296画素。明るさは最大1500ルーメン(ダイナミックモード時)、コントラスト比が400:1というスペックだ。
また教育市場ならではの機能として、電源オフ時に作動する「振動感知式オーディオアラーム」が挙げられる。常設設置時などにアラームオンにしておくと、盗難の際に振動を検知してアラームが鳴り響く仕組み。アラームを止めるには、側面の数字ボタンで暗証番号を入れなければならない。
「海外では学校での盗難事件も多数発生しており、セキュリティ機能に対する需要が高まっている。国内でも、天吊りのような常設設置が可能になるため、プロジェクターの利用範囲を広げるだろう」。
このほか、使用後にプロジェクターのクールダウンを待たずに電源コードが抜ける「イージーオフ機能」、電源コードを接続するとリモコン/本体ボタンを操作しなくても電源投入できる「オンスタート機能」、スクリーンが用意できない教室で黒板に簡易投映する「黒(緑)板モード」などを搭載した。
ビデオ入力は、D-Sub 15ピンのアナログRGB入力とS端子/コンポジット。別売の「COMPONENT〜D-subケーブル」を使用すればコンポーネント入力も可能だ。オーディオ入力は、PC接続用のステレオミニジャックとRCAピン端子を備えている。外形寸法は320(幅)×292(奥行き)×148(高さ)ミリ。重量は3.3キロ。
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