セイコーエプソン製の透過型液晶パネルを搭載する720P対応ハイビジョンプロジェクターの中でも、三洋電機のZシリーズは、常にユーザーの声を反映したトータルパッケージの良さが光ってきた。特に昨年の「LP-Z3」では、素直な絵作りと階調性の良さ、簡単に使えるプリセットを充実させつつ、画質を追い込める柔軟性の高さ、クラス最大のレンズシフト量、ゴミ吸入対策など、実にユーザーにとってかゆいところに手が届く製品に仕上がっていた。
フルモデルチェンジとなった「LP-Z4」は、単純に映像デバイスを最新にすることで高画質化を果たしただけでなく、三洋電機らしくユーザー本位の追加機能に溢れた製品となっている。トータルパッケージとしての完成度は、アタマひとつ以上抜けている印象だ。
D5パネルの採用でコントラストが向上した事も重要なトピックだが、使いやすさの向上にこそZ4の美点が隠されている。とにかくユーザー志向。これがZ4の良さだ。
従来よりレンズシフトの自由度がライバル中、もっとも高かったZシリーズだが、本機でも上下1画面づつ、左右0.5画面づつのシフト量に変化はない。今回の目玉はレンズシフトではなく、ズーム比の拡大だ。ズーム比が1.3倍から2倍に向上したことで、前後方向の設置位置自由度が大幅に高まっている。
しかもフジノンとの共同開発で生まれたという新レンズユニットは、実に切れ味よくフォーカス感が高い。レンズのコントラストも高く、輝点の周囲がボーっと明るさがにじんだように見える事もない。120インチに引き延ばすと、最周辺部では若干の色収差が認められるが、将来のフルHDにも対応できるよう設計したという新レンズユニットは、スッキリとよどみのない投影像に大きく貢献している。
また、細かな点ではあるが、レンズシフト位置がずれないようロックレバーが付けられ、シフトダイヤルのセンター位置にクリックが設けられるなど、実際に利用する際に役立つ改良が多数見られた。電源スイッチに連動し、電動で開閉するレンズバリアもとても便利な機能である。
昨年から引き続き採用されている色ムラの微調整機能や、光学回路へのホコリ混入の際に自分で掃除ができるようになっている点なども見ても、ユーザーからの要望に可能な限り応じようという姿勢が見て取れる。
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