ITmedia NEWS >
コラム
» 2006年08月16日 10時57分 公開

コラム:MSの対iPod「Zune」を勝手に予想する (2/2)

[小山安博,ITmedia]
前のページへ 1|2       

iPod+iTunes Music Storeへの対抗策は

 シェアトップをひた走るiPodへ対抗するためには、ハード側の機能だけでなくソフト(サービス)も重要な要素になる。iPod+iTunes Music Storeの組み合わせは多くのユーザーに受け入れられ、市場で優位なポジションにある。Zuneでは、新しいネットサービスが用意されるのではないだろうか。

photo 日本でも多くの利用者を持つiTunes Music Store

 Microsoftは現在、「Windows Live」や「Office Live」、「Xbox Live」といったネットサービスを提供している。音楽配信としては既にMSNミュージックが提供されているのだから、Zuneサービスが単純な音楽配信というのはつまらない。そもそも「音楽プレーヤーのZune端末+音楽配信のZuneサービス」というだけでは、iPod+iTMSの牙城を切り崩すのは難しいだろう。それなりの工夫が凝らされるはずだ。

 その工夫を予想してみると、音楽だけにとどまらず、さらに映像やゲームといったエンターテインメントを組み合わせたサービスというのが考えられる。そのなかでも核となりそうな要素は、やはりサブスクリプションサービスだろうか。

 音楽だけでなく、ミュージッククリップ、映画の予告編から本編、そしてオンラインゲームまで、月額利用料を支払えば聴き放題、見放題、遊び放題というのはどうだろう。プランによっては音楽だけ、ゲームだけ、という支払い方法があってもいい。

 こうしたサービスを想定すると、やはりこれまでの配信サービスでは対応できないかもしれない。Zuneサービスとしてまったく新しい専用のサイト(プロジェクト)を立ち上げる必要があるだろう。もちろんPCとも連携するのは当然で、映像やゲームを考えるとWindows XP Media Center EditionやXboxとも連動しても良さそうだ。既存の「Xbox Live」もうまく連携できるだろう。

 この場合のZune端末+Zune専用サービスは、Microsoftがコンテンツ以外を単独で提供する形、いわば自社製品による囲い込み戦略をとると筆者は考える。やり方としてはiPod+iTMSと同じで、ハードウェアとサービスを同じ企業が提供し、他社の参入は排除する方向だ。

 WAM/WMV対応デバイスを製造するメーカーと協業する現在のスタイルは、異なるメーカーのプレーヤーでもさまざまな音楽配信サイトの違いを意識せずに利用できる、ある意味でのオープン性を備えている。この囲い込み戦略が採用されれば、Microsoftにとって大きな方針転換になる。

 逆にiPod+iTMSにはこのオープン性がないが、そのかわりにデザインやインタフェースなどを固定化することで「携帯音楽プレーヤーといえばiPod」という強力なブランディングに成功した。Windows Media陣営は、端末やサービスが選べる分、このブランド戦略で後れをとり、その結果iPod+iTMSの独走を許したのではないか、とも考えられる。

 ここに来てMicrosoftが、ハードウェアとサービスを組み合わせた新ブランドを立ち上げるとなれば、これまでの戦略とは異なる方針があると予想できる。現時点ではiPod+iTMSに追いつけないオープン戦略ではなく、囲い込みという戦略への転換――そんな目論見を想像してしまうのだが、どうだろうか。

 まあ、それでもこれまでのオープン戦略を捨て去るわけではないだろう。要するにオープンなWindows Media陣営に、囲い込み側のiPod+iTMS/ソニーのウォークマン+mora/Zuneという4勢力が市場に並び立つ、という構図になるのではないだろうか。

ライバルはiPodのみにあらず

 いずれにせよ、当初はZuneは携帯音楽プレーヤー+音楽配信サービスという形で登場する公算が高い。仮に将来のサービス内容が筆者の想像通りだったとしても、最初から音楽、映像、ゲームすべてに1台で対応する端末は登場しないだろう。

 ただ、音楽だけでMicrosoftがどこまで独自色を打ち出せるのかは未知数。無線LANを活用した新しい音楽配信は実現されるかもしれないが、後発という立場から考えるとそれだけでは少し物足りない。

 つまるところZuneは、iPod+iTMSだけでなくPSPやニンテンドーDS、携帯電話を含むモバイルエンターテインメント市場に向けた総合ブランドになるのではないか。そうであれば、最終的に音楽も映像もゲームもできる端末とサービスが出そろって初めて本領を発揮するだろう。

 そう考えると、端末同士を含むネットワーク化、Liveサービスのようなネットサービスとの連携、音楽を含むエンターテインメントコンテンツ全般の提供といった各要素がうまく連動し、スムーズに利用可能になるか。そのあたりがZune成功の鍵になりそうな気がする。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.