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ソニー・西谷氏に聞く、新しいBlu-rayレコーダーとBD関連ビジネスの展開CEATEC JAPAN 2006(1/3 ページ)

» 2006年10月10日 12時53分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「CEATEC JAPAN 2006」初日の10月3日、いよいよソニーから久々のBlu-ray Discレコーダー2機種が発表された。2003年の「BDZ-S77」以来、実に3年以上を経ての新製品となる。その間、さまざまな紆余曲折があったが、やっとBD-ROMを用いたパッケージソフトを再生可能な次世代機が登場した。当初、2004年末には2号機を発売するとしていたソニーだが、しかしROM規格の仕様変更、規格争いの影響などでビジネスのスタートは1年半から2年は遅れたことになる。

photophoto 新しいBlu-ray Discレコーダーを発表したsソニー、コーポレート・エグゼクティブSVPの西谷清氏(左)。新製品の「BDZ-V9」(右)

 果たして今後、ソニーはBDを中心にしたハイビジョン映像機器ビジネスの将来をどのように見ているのか。ソニー・コーポレートエグゼクティブ・シニアバイスプレジデントとして、Blu-ray Disc、スゴ録、ロケーションフリーを担当する西谷清氏に話を聞いた。

――ソニー全体としてBD関連ビジネスに、どのような将来ビジョンを持っていますか?

「(HDを楽しむためのHDワールドの構築といった現在のミッションはもちろん)将来のネットワークと接続された映像ビジネスの起点に育てたいと考えています。ワールドワイドで見ると、プレーヤービジネスの方が大きいので、ネットワークに繋がったBDプレーヤーを用いて、どのようにネットワーク上のコンテンツと連携していくかが、将来のビジネスを発展させる上での鍵となるでしょう。もちろん、プレーヤーではHDの映画を楽しんでくださいという、本来の目的がありますが、その先にはネットワークがあるということです」

――つまり、ブロードバンドコンテンツをリビングルームで楽しむ入り口としてBDプレーヤーを用いるということでしょうか? 確かに当初、純粋に映像を楽しむための規格だったBDビデオフォーマットは、現在ではより高い柔軟性を備えるようになっています。能力的にも、高速なプロセッサが必要ですから、ブロードバンドの映像コンテンツにアクセスするフロントエンドに仕立てるというアイディアはありそうですね。

「ソニーの製品は、たとえばiPodとウォークマンを比較されましたが、われわれもネットワークが音楽流通一翼を担う重要な経路になるとは考えていました(註:西谷氏は直接の音楽プレーヤーの担当ではない)。それと同じように、パッケージで映像を販売する必要なくなるのではという話もありますが、映像に関して言えばすべてがネットワークになることはないでしょう。パッケージで配布される映像と、ネットワークで配信される映像。これを組み合わせたビジネスに発展するのが現実的だと思います。まだおぼろげなビジョンで、直接的なメッセージは伝えられませんが、一部に家庭向けのネット映像配信が一般化していくことは間違いないと思います。そのゲートウェイとして何を使うのか? というところで、BDプレーヤーがを使えるのでは? というイメージです」

――日本で主流になるだろうレコーダーに関していえば、ハードディスクを搭載し、記録メディアにも映像をアーカイブできる。これとネットワークを組み合わせれば、使い方の幅は拡がるでしょう。

「実際に記録メディアをどのように使うかは、まだ見えていない部分もあります。ただ1つ言えるのは、音楽をハードディスクやポータブルデバイスに取り込む場合にはPCを使うのが当たり前になっていますが、映像ではレコーダーなどの家電デバイスがないと普及しづらいのではとは考えています。音楽と映像では、ユーザー層もデータ転送量も異なります。日本以外、たとえば北米を見るとブロードバンド回線の帯域や普及率といった問題もあります」

「これは先進国共通のテーマで、各国によって事情が異なります。電波を使った放送なのか、それとも双方向性を持つケーブルなのか、送出事業者のビジネスモデルなどにも関わるでしょう。地域ごとの差はありますが、家電とネットワークの組み合わせがベストだと考えています」

――たとえばBDアソシエーションの中で、BD機器でネットワークコンテンツを扱うための仕組み、たとえばDRMや配信プロトコル、ポータルの作り方などを作業部会で検討していますか?

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