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» 2006年10月20日 11時49分 公開

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:CEATECで見つけた4つの次世代トレンド (3/4)

[西坂真人,ITmedia]

――では2つ目のトレンドを教えてください。

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麻倉氏: 未来志向のディスプレイ提案としては「スーパーハイビジョン」ですね。CEATECで出してきたということは、いよいよNHKが次世代放送の地ならしをそろそろ始めるなというのが予想されます。新しい放送というのは準備が約30年かかるのです。ハイビジョンの研究開発が始まったのが1970年で本放送開始は2000年でした。8K4Kのスーパーハイビジョンの研究開発は1995年に始まってますので、30年後だと2025年。実際にNHKも、2025年に放送開始ということをアナウンスしています。ハイビジョンの時の流れを振り返ってみますと、1984年にMUSE(Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding)という伝送方式が開発されています。研究開発開始から約15年後ぐらいに伝送方式が決まってくると予測すると、スーパーハイビジョンは2010年頃に次の伝送方式が考えられて、試作機もそのあたりで作られるというタイムスケジュールになるでしょう。

――夢の次世代技術ではなくて、かなり近くにきているということをCEATEC展示でアピールしたのですね。

麻倉氏: そうですね。今回は、NHKだけでなく関連メーカーを巻き込んでのスーパーハイビジョン提案が印象的でした。パイオニアブースでは、スーパーハイビジョンを50インチで実現できる画素ピッチの超高精細PDP展示が行われていました。これは一昨年〜昨年とNHK技研の方で発表していた技術ですが、それが一般企業であるパイオニアでやったというのが画期的です。ほかにもシャープが64V型の液晶で4K2Kを展示していたなど“ポスト・フルHD”をにらんだ展示が出てきたのが面白いトレンドでしたね。

――次世代DVDは今回も盛り上がっていましたね。

麻倉氏: 次世代DVDは3番目のトレンドとして取り上げたいです。Blu-ray DiscとHD DVDの両陣営は、それぞれブースを設けて今年もアピールしていました。特にBlu-ray Disc陣営は、メンバーの多さという特徴をうまく引き出していたと思います。今年気づいたのは、Blu-ray Disc賛同メーカーの中でもメーカー間格差がついてきたかなということです。ここにきて圧倒的な存在感は松下電器ですね。すでに松下はBDプレーヤーとBDレコーダーを発表しているわけですが、それ以外にオーサリングからプレスまでとトータルなものが松下内部で完結し、さらに松下がMPEG-4 AVCという非常に高精細な圧縮フォーマットを作ったということも強力にPRして、ソニーにかわって松下がBDワールドを牽引していくという意思表示を非常に明快に表現したブース構成になっていました。

――これまでBlu-ray Discといえばソニーが市場を牽引してきました。今回のCEATECでも初日に新世代BDレコーダーを発表しましたが、2層メディアに非対応という非常に残念な仕様でした。

麻倉氏: ソニーこそが、この時期に最高のBDレコーダーを出して、BDワールドを牽引しなくてはいけなかったのです。確かに発表された「BDZ-V9/BDZ-V7」は非常に多機能で魅力的なのですが、一番重要な2層記録に対応していないのです。また、アナログの5.1チャンネルもでない。これからのリッチコンテンツの時代には2層記録が非常に重要で、松下も「ブルーレイDIGA」発表会で語っていましたが、過去16年間でアカデミー作品賞を受賞した映画のうち全体の44%が150分以上の長編作品であるのです。こういった名作を1本に収めようとするなら2層ディスクでないとだめなのです。実際に私はRE1.0仕様のBDレコーダーで何百枚という録画をしていますが「スターウォーズ」や「風と共に去りぬ」などは2枚に分けないといけません。そうでなくても、HD DVDに対しての最大のアドバンテージである2層記録ができないということは、ソニーにとっては痛手といえるでしょう。ぜひ次の機種では挽回して欲しいですね。

photophoto ソニーが発表したBDレコーダー「BDZ-V9/BDZ-V7」

 そのほかのメーカーは、モックアップや試作機の展示にとどまっていましたが、これも少々情けない。BDグループの中でも、力の差が出てきたといえるでしょう。

 HD DVD陣営は年末に投入する低価格HD DVDプレーヤーを紹介していましたが、昨年熱い火花を散らした基調講演は今年はBD陣営のみというところで、そのへんの力の入れ方の差が少し残念でしたね。

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