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「AQUOSファミリンク」の“目の付けどころ”(2/2 ページ)

» 2006年10月24日 22時16分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 学習リモコンのマクロ機能を使っても、ファミリンクと同じようなオートマチック感覚の操作は行える。実際、ファミリモコンに触って感じたのは、ロジクールの学習リモコン「Harmony」の“アクティビティ”に似た使い勝手の良さだ。ただし、学習リモコンはあくまで一方通行の赤外線信号だが、HDMIコントロールでは機器が接続した相手の状態を“知ることができる”のが大きい。

 たとえばファミリモコンの「録画」ボタンを押したとき、レコーダー側の電源がオフなら起動。テレビで視聴しているチャンネルの情報をHDMIケーブルを介して伝送し、レコーダーが録画を開始する。また、AVアンプ内蔵のスピーカーラックシステム“AQUOSサラウンド”「AN-ACX1/ACY1」は、ユーザーが視聴中のチャンネルを切り替えると、EPGに含まれる番組ジャンルを参照し、「スポーツ」「ミュージック」といった7種類のサラウンドモードをリアルタイムに変更してくれる。このように、録画するチャンネルや番組ジャンルの情報が取得できるのは、双方向通信のHDMIコントロールならではだろう。

photo “AQUOSサラウンド”「AN-ACX1」のディスプレイ

 ちなみに「AN-ACT1」のサラウンドモードには、「スポーツ1」と「スポーツ2」があり、デジタル放送向けのAAC 5.1chに適したモード(ドルビーバーチャルスピーカーを利用)は「スポーツ2」なのだが、ユーザーはそれを憶えておく必要がない。「普段は自動設定に任せておき、気に入らないときだけ、メニューを出して別のモードを試してみればいいでしょう。それまで意識しなければならなかったことも、意識する必要はありません」(岡野氏)。

 また、話を聞くまでは気が付かなかったが、リモコンの誤操作を防ぐ意味でもHDMIコントロールは有効のようだ。岡野氏によると、お年寄りやレコーダーに馴染みの薄い方は、レコーダーを操作しようとしたときに「どうしてもリモコンを“テレビに向けて操作”しがち」なのだという。もちろんレコーダーが違う方向にあれば動かない。テレビの受光部にさえ赤外線信号が届けばレコーダーやAVアンプも制御できるHDMIコントロールは、(ユーザーの勘違いはともかく)ある意味“直感的なインタフェース”なのかもしれない。

 では、同じようにHDMIコントロールを使用するパナソニック「VIERAリンク」との違いはどこにあるのか。岡野氏に訊ねると、まず「ファミリモコン」の操作性を挙げる。「他社製品の場合はメニューを出してレコーダーで録画する項目を選択しなければなりませんが、ファミリモコンの場合は録画ボタンが付いているため、ダイレクトに録画できます」。「また、レコーダーがクイック起動に設定されていると、録画ボタンを押してから約3秒で録画が始まります」。より一体感のある連携機能がファミリンクの強みといえそうだ。

 それでも、ユーザーとしては機器選択の幅が狭くなるのは痛い。そこで最後にHDMIコントロールの互換性に関しても聞いてみた。HDMI CECは、メーカーが独自機能を盛り込める柔軟性とともに、電源のオン/オフといった基本的な部分を共通化している。したがって、両社の仕様がHDMIの仕様に完全準拠しているのなら、たとえば「AQUOS」と「DIGA」、「VIERA」と「AQUOSレコーダー」の組み合わせでも基本的な連携動作が可能になるはずだ。この点について岡野氏は、「少なくとも、われわれはHDMIの仕様にしっかりと準拠しています」とした上で「あとは接続する相手次第」とするに止めた。


 冒頭で触れた通り、「AQUOSファミリンク」はHDMI 1.2のCEC機能を活用する。ただしそれだけではない。「ファミリモコン」の赤外線、ハイブリッドダブレコのi.Linkなど既存技術も活用してユーザビリティ向上を目指す“技術の総称”だ。そして、AV機器が裏方で複雑な動作をすると、ユーザーはラクができることを実感させてくれる技術なのだ。

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