「高音質」「PCレス環境の提案」という2つのテーマを携え、誕生した新しいウォークマンとネットジューク。
ウォークマンについては、普及しつつあるとはいえデジタルオーディオプレーヤーそのものがまだ新しい製品ジャンルであることから注目度も高いが、ネットジュークの製品形態はなじみ深い「ミニコンポ」であり、ウォークマンほどの関心を寄せられていないように思える。
大衆化したAV機器であるミニコンポの形態を取りつつも、新製品ならではの独自性を持たせるのは困難なことだが、ソニーはそれにどんな想いを込めたのか。前回に引き続き、今回はネットジュークを中心に、企画担当者へコンセプトとその狙いについて聞いた。
瓜谷氏: 室内で音楽を聴くためのデバイスという意味では、ミニコンのライバルはパソコンなのですが、新しいネットジュークをパソコンの置き換えとして提案したくはなかったんです。
パソコンで音楽を聴いているユーザーはHDDに楽曲をためることの便利さを知っていますから、HDDコンポとして、その便利さに「新しい聴き方」と「高音質」をプラスして提案することを考えました。
――具体的に「新しい聴き方」とはなんでしょう。また、新しいネットジュークはHDDに収録された楽曲を「12音解析」によって自動分類し、25の「チャンネル」として提供する「おまかせチャンネル」を新機能として備えていますが、それは「新しい聴き方」のために欠かせないものだったのでしょうか。
瓜谷氏: 提供したいと考えた「新しい聴き方」のイメージは、飛行機のオーディオプログラムなんです。ある程度テーマやニュアンスの共通する楽曲を、ネットジュークが自動的にセレクトして流してくれる――そうしたイメージです。そのためには楽曲を自動分類する12音解析の実装は欠かせない要素でした。
ネットジュークはCDをはじめ、MDやネットワーク配信(ANY MUSIC)、さらには録音したラジオから楽曲を抽出してHDDに収録できますから、常に新しい「何か」(楽曲)に出会うチャンスを提供できます。この「出会い」こそが、一番提案したかった部分です。
――録音したラジオを解析し、トークと楽曲を分離する「Music-Talk 自動分類録音」はこれまでのHDDミニコンポにはなかった機能ですね。
瓜谷氏: やっていることはいわゆるエアチェックですが、正直、機能として実際に搭載できるとは思っていませんでした(笑)。ただ、「常に新しい何かに出会える」をなんとか実現したいと思い、製品化にこぎ着けました。
録音したラジオ番組からトークと楽曲を分離する際にも、12音解析の技術が利用されています。分析するまでは機械的な処理で可能ですが、そのフレーズ(楽曲)をどのようなジャンルに分類するかの最終的な設定は実際に試聴しながら行いました。
注:12音解析では、波形データをオクターブごと12音階に分解し、メロディやコード進行、テンポ、音符の数などといった音楽の構造を解析することでその音楽の特徴を割り出す。その上でムードやジャンルといったヒトが試聴しないと分類の難しい要素を加味しながら分析している。
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