小型デジタル一眼レフカメラの雄、キヤノン「EOS Kiss Digital」の最新モデルが「EOS Kiss Digital X」(Kiss D X)だ。Kissシリーズ10代目となるKiss D Xは、小型軽量なボディはそのままに、とうとうゴミ取り機能までも搭載し、ますますスキのなくなったKiss D Xをテストしてみた。
新しくなったKiss D Xを前モデル「EOS Kiss Digital N」と比ると、本体サイズはほとんど変わりがなく、126.5(幅)×94.2(高さ)×65(奥行き)ミリ、約510グラム。ちょっとだけ重くなったが、ほとんど同等と考えていいだろう。
正面から見たデザインはほぼ同じ。エンブレムの名前が変わったぐらいで、こちらは変更点はない。大人の男性の手でグリップを持つと小指が余りかねないほどの小型なところは変わらない。長玉のレンズを装着してグリップだけで支えようとすると、滑り落としそうになる。
もっとも女性の手にはしっくりきそうだし、そういうものだと思って使えばそれほどデメリットとは感じない。何より(ほかのデジタル一眼と比べて)持ち運びでそれほど苦にならない小ささと軽さはいい。
デザインで大きく変わったのは背面だ。まず、液晶が2.5型に大型化された。これまでが1.8型だったから、順当な機能アップ。最近のデジカメは多くが2.5型以上になっているので、正確には追いついたといったところ。画素数も約11.5万画素から約23万画素に高精細化されている。
この液晶の大型化にともない、これまで液晶上部にあったモノクロの表示パネルが排除された。その代わり、液晶に各種情報を表示する形式に変更。オリンパスやソニーのデジタル一眼レフでもおなじみの体裁で、個人的には見やすいし表示できる情報量も多いので好きなタイプだ。
もともとKiss Digitalシリーズは背面に表示パネルがあり、本体上部に表示パネルがあるほかのEOS Digitalシリーズとは違ったため、情報表示を背面液晶1本に絞っても違和感はない。
細かい部分だが、三脚などでハイアングルからの撮影をするときに、背面液晶の方が撮影情報が確認しやすい、というメリットもある。液晶の視野角は広く、上下左右ともに160度という広視野角は見やすく便利。ただその反面、消費電力がちょっと気になる。
これだけが原因ではないかもしれないが、公称の撮影可能枚数がストロボなしで約600枚から約500枚に、50%ストロボ撮影で約400枚から約360枚に減っているのは残念。まあ、減った分はこまめに充電したり予備バッテリーを持ち歩くなりすればいいのだが、やはり新モデルでスペックダウンの部分があるのは寂しいものだ。
ただ、キヤノンはバッテリの共通化を図ってくれており、Kiss D Xの場合はコンパクトデジカメの「PowerShot」シリーズからバージョンアップした人であれば流用がきくのでいい。
さて、この背面液晶の上には新たにセンサーが設置され、顔をファインダーに近づけると液晶が自動消灯するようになっている。このあたりは他社もやっていることだし、消費電力の観点からも、撮影時のまぶしさ軽減のためにも必要な機能だろう。
ただ、ファインダーをのぞいたりカメラをいじっていたりするだけでもついたり消えたりするので、暗い場所では特に気になることも多い。日差しの強い場所では見にくくなることもあるが、個人的にはこちらはそれほど気にならなかった。それよりも、ホワイトに近いグレーの背景に黒字のデザインがちょっと明るすぎると感じた場面も。カラーリングを選べたらシーンに応じて使い分けられて便利だったと思う。
いずれにせよ、撮影情報を確認するために大型液晶のKiss D Xは使い勝手がいい。ほかの機種では普通のサイズであり、撮影情報を液晶モニタに表示するやり方も特に珍しくないが、Kiss D Nのころと比べて操作性は向上したといえる。
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