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「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「デッドマン」「コーヒー&シガレッツ」などで知られるインディペンデント映画の雄、ジム・ジャームッシュ監督による05年カンヌ国際映画祭審査員特別大賞(グランプリ)受賞作「ブロークン・フラワーズ」が11月24日にDVDリリースされる。
特典は未公開映像の“Girls on the Bus”やカチンコ集、キャスト&スタッフの舞台裏映像、アメリカ版予告編などを収録。
コンピュータ関連の仕事で成功を収め、悠々自適な生活を送っているドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)は、中年になった現在も独身を貫くプレイボーイ。そんな彼に愛想を尽かした恋人シェリー(ジュリー・デルピー)は家を出て行ってしまう。
ある日、差出人不明のピンクの手紙が届く。そこには「あなたと別れて20年、息子が19歳になります」と綴られていた。困惑気味のドンに対して、お節介な隣人ウィンストン(ジェフリー・ライト)は差出人探しの旅を勝手に練り始める。
かくして、ドンはピンクの花束を片手に、昔の恋人を訪ね歩くアメリカ横断の旅に出るが……。
主人公の名前はドン・ジョンストン。「マイアミ・バイス」の主演俳優ドン・ジョンソンを文字った名前からしてふざけているが、そのキャラも実に感情移入しにくい、つかみどころのない男である。旅に出るのも、隣人がお膳立てしてくれたから、ぐらいのスタンスだ。
演じるのはビル・マーレイ。この人、やる気のなさが全面に溢れている割には、要所で小ネタを繰り出し、ダメ男を愛すべきキャラへと昇華させる天才である。決してスマートなチョイ悪オヤジではないが、どことなく情けない風情が、女性から見ると放っておけない存在なのだ。今回もまさにそう。ダメ男ののらりくらり旅に付きあわされ、やがて自分自身を見つめ直していく彼に哀愁さえ感じるようになる。
彼が花束を持って訪れる元恋人たちはシャロン・ストーン、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントンなど、これまた豪華。
ジム・ジャームッシュ監督作品はドラマチックでもないし、アクションもないし、お涙頂戴でもない。だから、時たま眠りに誘われることもある。いや、それは決して面白くないとかではなく、映像の心地良さゆえ。今回は手紙の差出人が誰であるか、というちょっとしたミステリーと、とぼけたユーモアと茶目っ気たっぷりの主人公の魅力にハマります。
たまには独特のテンポがクセになるロードムービーはいかがでしょうか。
なお、ジャームッシュ監督の初期作品「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー コレクターズ・エディション(2枚組)」をパックにした初回限定豪華4枚組BOX「ジム・ジャームッシュ/アーリー・コレクション」(キングレコード)も11月22日に登場。価格は12075円。
関連サイト:http://www.brokenflowers.jp/(公式サイト)
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