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薄型テレビと相性がいい平面スピーカー?――TDK「Xa-Master」(1/2 ページ)

» 2006年12月06日 02時51分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 「Xa-Master」(SP-XA160)は、2基のサテライトスピーカーとアンプ内蔵サブウーファーで構成される2.1chシステム

 TDKマーケティングが12月20日に発売する「Xa-Master」(SP-XA160)は、同社製フラットスピーカーのハイエンドに位置付けられる製品だ。透明なアクリルパネルを振動板にした斬新なデザインは、AVラックやPCデスクの上で独特の存在感を示すだろう。しかし、“Master”を冠した製品であるからには音質面の進化も期待したいところ。同社レコーディングメディア ビジネス・グループでスピーカーの製品企画を担当しているる下山秀一氏に詳しい話を聞いた。

 TDKのフラットパネルスピーカー「Xaシリーズ」の基盤技術は、英New Transducers(NXT)が開発した「NXT SurfaceSound Technology」だ。これは、小型のアクチュエーターで平板を分割振動させ、音を出すというもの。スピーカーを薄型コンパクトにできることはもちろん、パネルの表面全体に帯域周波数振動を分布させる発音方式により、360度に近い指向特性を生み出せるという特徴がある。

 TDKはすでに同技術を採用した平面スピーカーをPCやポータブルオーディオ向けに展開しているが、一方で独自の技術開発も進めてきたという。その1つが高い駆動力を持つ超磁歪素子(GMM:Giant Magnetostrictive Material)。Xa-Masterでは、アクチュエートロッドとして、このGMMを採用した。

 GMMは、磁束の変化によって物理的に長さが変わる性質を持ち、しかも強力だ。たとえば3ミリ径のGMMをアクチュエーターに使用した場合、1平方センチメートルあたりで400キログラムもの力を発揮するという。

 「GMMを中心に、周囲にコイルやマグネットを配置して駆動装置(GMMエキサイタ)を開発した。GMMが持つ高速応答性とハイパワーを生かせるよう、磁気回路設計を最適化。原信号に対する追従性に優れるGMMエキサイタになった」(同氏)。

photophoto Xa-masteに使用されたロッド(左)とエキサイタ(右)エキサイタ内のコイルに電流が流れると磁束が変化し、中心にある超磁歪素子の長さが変わる。長さの変化は2マイクロメートル程度だが、このとき1平方メートルあたり数百キロの力が発生して固いアクリルパネルを動かす

 一方、パネルの形状や素材も大きく変わった。

 「従来のXaシリーズでは、段ボールのようなハニカム構造のパネルを使用していたが、今回は3ミリ厚の平坦な硬質アクリルパネルを採用している。GMMエキサイタが強力な力で大型の硬質パネル全体を振動させるため、遠くまで同じ音圧レベルを保つことができる」という。

 つまり、もともと広い範囲に音を放射できるNXTのメリットを生かし、さらに広い空間に音を放出できるようにしたわけだ。スピーカーを中心に円状に音が広がると仮定すれば、その円がさらに広がったようなイメージだろう。「リスニング空間に均一な音場を形成できると、スイートスポット(最適なリスニングポジション)が広がる。たとえば、スピーカーをテレビの後ろ側に隠しても音は自然に聞こえる。テレビ周りスッキリさせたい人にも最適だろう」(同氏)。

photo スピーカーをテレビの後ろに置いてもあまり変化がない
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