前編では、ロケーションフリーベースステーションの新製品「LF-PK20」を従来機の「LF-PK1」と比較しながら見てきた。後編ではMPEG-4 AVCの画質チェックと、ソニーが新たに販売するロケーションフリーTVボックス「LF-BOX1」を取り上げる。
MPEG-4 AVC(H.264)への対応は、「LF-PK20」の目玉だ。ただし、最初に断っておくと、MPEG-4 AVCで映像を受信できるクライアントは、今のところWindows用ソフトウェア「LFA-PC20」と上記の「LF-BOX1」のみ。「PSP」や加賀電子が販売しているMac OS X用ソフト「TLF-MAC」などは未対応だ(TLF-MACは、最新のアップデータでLF-PK20と接続可能になったが、機能的にはLF-PK1使用時と同等)。
まずは「LFA-PC20」を使い、LF-PK1(MPEG-2)と画質を比較してみよう。ビットレートはプリセットの6段階から、もっとも低い「1」、中間の「3」、最高画質の「6」を選択。デジタルハイビジョンソースをS端子接続でベースステーションに入力、それぞれの画質を比べてみた。デジタル放送の映像はPCでキャプチャーできず、デジカメ画像(見た目はもっと綺麗だ)になっているので、写真は参考程度に思ってほしい。
正直にいうと、写真のように動きが少ない場面ではMPEG-2(PK1)との違いがよくわからない。どちらもビットレートが高いモードなら十分に視聴に耐える画質で、ビットレートが低いモードでは“それなり”だ。ただ、右上のロゴマークに着目すると、LF-PK20のほうが解像感が1ランク上であることがわかる。
MPEG-4 AVCの効果をより感じるのは動きのある場面だ。動くものの周囲に生じるノイズが減少し、見やすくなった印象を受ける。ビットレートが低いほど違いは顕著で、狭帯域でNetAVを使用するときなどには差が出ると思う。
まとめると、映像コーデックの違いによる改善は見られるが、たとえばアナログ放送からデジタルハイビジョンに変わるような劇的な変化を期待するとがっかりするかもしれない。また、映像コーデックの違いよりも帯域幅が画質に与える影響のほうが遙かに大きい。MPEG-4 AVCの実装は、絶対的な画質向上というより、狭帯域接続時の画質を底上げするための手段と捉えるべきだろう。
ちなみに筆者の場合は「PSP」との組み合わせがメインのため、LF-PK20に変えても画質的なメリットはない。悲しいような、安心したような、これもまた複雑な気分である。
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