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MPEG-4 AVCと“TVボックス”を使ってみるレビュー:ロケーションフリー新製品(後編)(2/2 ページ)

» 2006年12月13日 17時20分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 ロケーションフリーTVボックス「LF-BOX1」は、アナログAV出力を持ったクライアントだ。有線もしくはIEEE 802.11a/b/g無線LAN接続に対応し、手持ちのテレビに受信した映像を映し出すことができる。スカパー!チューナーやCATVの映像をほかの部屋でみたいとき、あるいは海外在住の方がインターネット経由で国内の放送を見るといったケースに“普通のテレビ”で視聴できるのが最大のメリット。

 セッティングの手順は、ほかのクライアントと大差ない。宅内であれば、まず有線LANで接続してベースステーション検索→クライアント登録を行うのが早い。設定項目は、後述の画質指定(ビットレート)を除いてほぼ同等。すべてウィザード形式のため、ベースステーションの設定を行ったことがある人なら説明書なしでも作業を進められるだろう(一応、読むことをお勧めしておく)。

photo 右は無線LAN設定。WEPキーなどの入力時にはソフトウェアキーボードが起動する

 画質設定はほぼ自動化されている。LF-BOX1はMPEG-4/AVCとMPEG-2の両方に対応しているが、宅内LANで使用する場合はデフォルトでMPEG-2の「画質優先」モードになる。もし無線LANの受信環境が悪くて映像が止まったりしたときに「通信優先」モードを選択すればいいという程度だ。なお、インターネット接続時(Net AV)には、PC用クライアントソフトで使用したようなビットレートの段階的な設定も可能だ。

photophoto リモコン設定(左)。ベースステーションの設定画面もテレビに呼び出せる(右)

 というわけで、宅内利用なら基本的にデフォルト設定で問題なし。ただ、「LF-PK-20」をクライアントモードで使用している場合(別の無線ルータに接続)は「通信優先」しか選択できなくなるほか、クライアントからベースステーションの設定画面に入ることも不可能だ。この点は認識しておいたほうがいい。

 大画面テレビで見るロケーションフリーの画質は、「大きくなったぶんアラは目立つが、十分に許容範囲」といった印象。たしかに元の映像に比べると荒いし細かいブロックノイズも生じるが、大画面の迫力のほうが上回る。少なくとも宅内でMPEG-2接続している限り、満足感は高いと思う。

photophoto 画面リモコンの位置は、右側もしくは左側を選択できる
photo リモコン

 もちろん、リモコンを画面に表示して外部機器を操作することも可能だ。とくに気に入ったのが「カーソルリモコン」機能。たとえば「LF-PK1」と「PSP」を組み合わせて使用している人なら分かると思うが、「PSP」からDVDレコーダーのような外部機器を操作する場合、レコーダーのカーソルキーを“選択”するために「PSP」のカーソルキーを操作することになり、とにかく面倒だった。しかし、LF-BOX1のカーソルリモコンでは、その煩雑さが解消されている。

 手順はこうだ。画面リモコンの「カーソルリモコン」アイコンをクリックするとカーソルリモコンモードに入り、丸いマークが現れる。この状態で画面リモコンの「上」を押すと、操作機器に「上」という赤外線信号をそのまま送信してくれるというわけ。リニアな操作感は実に快適で、「PSP」のロケフリプレーヤーにも是非実装してほしいと感じた。


 駆け足でロケーションフリー新製品を見てきたが、総括すると従来機で指摘されていた不満や機能不足が改善され、かなり有意義なアップデートといえる。前編で取り上げた設置の柔軟性や学習リモコン機能、そして「LF-BOX1」の新提案は、“ロケーションフリーが気になるが躊躇している人たち”の背中を押すだけのインパクトがあるだろう。躊躇したかいのある(?)機能アップだ。

 すでにLF-PK1を所有している筆者の場合、とりあえずLF-PK20に買い換える予定はない。しかし、仮に「PSP」のロケフリプレーヤーがMPEG-4 AVCに対応し、学習リモコンやカーソルリモコンが使えるようになったら……衝動的に購入してしまうかもしれない。

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