先日、シャープが発表した「AQUOS Gシリーズ」は、1920×1080ピクセルのフルHDパネルを搭載した32V型液晶テレビだ。これまで、フルHD解像度を持つ最も小さいテレビは37V型液晶。より小さいフルHDモデルを他社に先駆けて投入したことになる。同社AVシステム事業本部液晶デジタルシステム第1事業部の副事業部長兼商品企画部長を務める出野忠男氏に詳しい話を聞いた。
従来の32V型液晶テレビは、WXGA(1366×768ピクセル)の製品が中心だ。しかしフルHDとなると、画素数は従来のおよそ2倍。207万画素を同じサイズに収めなければならない。このため、Gシリーズではドットピッチを0.36ミリまで微細化している(WXGAパネルは0.51ミリ)。このあたりはブラックボックス技術が多く出野氏も詳細は語らないが、液晶を素材から見直し、開口率(=明るさ)を確保しつつ精細化を図ったという。
また、32型フルハイビジョンを実現した大きな要素といえるのが、製造現場の技術力だ。「Gシリーズは亀山第1工場で製造しているが、その技術は第2工場から持ってきたもの。(Gシリーズの製造には)42インチクラスの精度が求められる」(同氏)。
液晶テレビでは、技術開発はもちろん、量産に向けたマニュファクチャリングが製品化のカギを握る。実際、研究所レベルの試作機であれば、32インチのフルHDパネルは数年前から存在し、「CETEC JAPAN」や「CES」などの展示会にしばしば登場していた。しかし、実際の製品が他社から発売される気配はまだない。
シャープの場合、展示会に32インチフルHDパネルを大々的に出展したことはないが、出野氏によると「CEATEC JAPANで同等のパネルを展示した」という。実は、同社ブースにあった64インチの4K2Kパネルのことだ。
4K2Kパネルの解像度は、4096×2160ピクセル。これを縦横に4分割すると、1920×1080ピクセルの解像度を持つ32インチのパネルが4枚とれる。言われてみれば、展示機とGシリーズは、コントラスト比(暗所2000:1)や輝度(500カンデラ)などスペックも共通である。
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