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エコロジーな大画面たち(2/2 ページ)

» 2006年12月18日 13時35分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 毎年、「エコプロダクツ」展では、液晶テレビやプラズマと並んでリアプロジェクションテレビが存在感を示している。背面から投影するリアプロは、画面サイズに対する消費電力という点で液晶テレビやプラズマテレビよりも有利であるためだが、たとえば日本ビクターブースでは、40V型液晶、42V型プラズマ、52V型リアプロの3種類を並べてリアルタイムの消費電力を計測・表示。画面サイズでは最大のリアプロが最も省エネであることを強調していた。

 また、9月に技術発表(関連記事を行った新光学エンジン採用の“薄型”リアプロジェクションテレビ(写真右)も参考出展した。これは、58V型の大画面でありながら、奥行きはわずか27センチで「液晶テレビやプラズマの“脚”よりも奥行きをとらない」。

photophoto 各種大画面テレビの消費電力比較(左)。右は新光学エンジン採用の薄型リアプロ(参考出展)。あまりに薄くて「ぱたっ」と倒れそうにも見えるが、安定性は高い。リアプロの画面内は基本的に空洞で、光学系などは下部に集中しており、重心が極端に低いからだ

 しかも、背面に排気口や端子部を設けていないため、ぴったりと壁に寄せて設置できる点もメリットだ。“壁掛けテレビ”ならぬ“壁寄せテレビ”である。壁掛け同様にスタイリッシュでありながら、“壁掛け”壁の補強工事など煩雑な作業はいらない。部屋の模様替えにも対応できる柔軟さは魅力だろう。

photophoto 奥行き比較(左)と内部構造(右)。凹面ミラーを組み合わせて投射距離を約4割短縮した

 ここまで薄くできた秘密は、前述の光学エンジン「スリムファンクション光学エンジン」と新しい光学系にある。光学系では、従来の屈曲型レンズにくわえて新たに凹面ミラーを組み合わせ、投射距離を約4割短縮。一般的なリアプロでは、背面ミラーの中央はスクリーンの中央と同じ高さになるが、同機の場合はミラーのほうが少し下にずれているのが特徴だ。

 画質面にも妥協はない。フルハイビジョン解像度(1920×1080ピクセル)のD-ILAデバイス3枚を使用し、「高コントラストかつシルキーで滑らかな映像を実現した」(同社)という。

 この“壁ピタ”テレビ。実は12月14日に米国で製品発表が行われ、ほぼ同じデザインのまま製品化された(ニュースリリース)。展示機と同58インチは「HD-58S998」という型番になり、さらに65インチの「HD-65S998」もラインアップ。1月に米国ラスベガスで開催される「CES」でお披露目の予定だ。なお、国内展開は「2007年中の発売を予定している」(同社)という。


 プロジェクターや大画面テレビのような“贅沢品”は、エコロジーと相反するものと受け止められがちだ。たとえば大排気量のクルマに乗るようなもので、広い家(クルマならガレージ)や相応のランニングコスト(クルマなら燃費)が求められる。もちろんそうした一面もあるが、展示会場を見て回ると、エコロジー志向の製品開発が、敷居を徐々に下げているように感じた。省エネも気になるが、大画面や画質、インテリア性などにもこだわる。欲張りなオーディオ・ビジュアルファンにとって、こうした製品が増えてきたことは有り難いことだろう。

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