家電の製品開発において、省エネが重要なテーマになって久しいが、性能やスタイルにも妥協しないのが最近の傾向だ。たとえば一時期のエアコンは、省エネを意識するあまり、冷暖房の“立ち上がり”パワーを犠牲にしたケースも多く、結果として“なかなか部屋が暖まらない/涼しくならない”といった不満も聞かれた。しかし最近では、技術開発の進展も手伝い、“ロスを減らし、効率的に暖める”方向にシフト。省エネと快適性の両立を目指した製品が増えてきている。
オーディオ・ビジュアル機器にも同様の傾向が見られる。基本性能の底上げにより、結果として消費電力を抑制する。たとえばテレビなら、大画面化と高解像度化の一方、画面サイズあたりの消費電力は下がり続けている。植物由来の樹脂部品やリサイクルしやすいアルミ素材といった“リサイクルを意識した製品開発”も同時に進行中だ。
先週末に東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された「エコプロダクツ2006」の会場から、気になったトピックを紹介しよう。
帝人ファイバーが出展した「SPLENDOR」(スプレンダ)は、消費電力を上げずに明るい部屋で鮮明な画像を楽しめる“ハイブリッドスクリーン”だ。スクリーンは、ベースとなる支持層の上に反射層(リフレクション)と拡散層(デフュージョン)をジグザグに貼り合わせた「ハイブリッド」構造になっており、「反射面の微少緻密なクレーター構造が、天地方向にずれた光を吸収する一方、正面からの光を効率良く反射させる」(同社)。
つまり、正面からきたプロジェクターの光だけを効率的に映し出し、部屋の明かりなど斜めに入ってくる外光は画面に影響しにくい。このため、明るい部屋でもくっきりとした映像を表示でき、部屋を暗くすれば、プロジェクターの光量を44%削減しても同じ明るさを維持できるという。会場では従来のホワイトマットスクリーンと比較展示していたが、正面から見ると明るさやコントラストの違いは明らかだ。
スプレンダの発売は「未定」(同社)。ただし、配布資料にはデータプロジェクター用のモバイル・タイプなどと並び、16:9の90インチフロアタイプ(立ち上げ式)なども掲載されており、ホームシアター用途の展開も期待できそうだ。
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